第16話 ページ16
みんなの天使様。誰のモノにもならない天使様。ああ、本当に……遠い遠いヒト。もしかしたら、Nightmareも同じことを思っていたのかもしれない。Dreamはそんなことを考えながらもFriskから離れなかった。この温もりを確かめたかったから。失いたくないから。まだここに居ると信じたかったから。
FAtaleの世界を後にし、家に帰ると、Inkが上がり込んでいた。彼は心配そうにDreamを見る。彼の目元が赤かったからだ。なんでもないよ、と誤魔化して、Inkの用事を聞く。
「実はね、迷子のAUがいて……。」
彼の名前はPokerと言い、いつの間にかDoodle sphereにいたらしい。特徴的なものをあげれば、頬に青い星のマークが二つあるのと、緑色のマフラーをしているらしい。Dreamも全てのAUを把握している訳では無いので首を捻らせた。
「そっか。……やっぱり、Miraに聞いた方が早いかな……。」
でもなぁ、とInkは渋る。やっと落ち着いたあの世界に問題を持ち込みたくないのだろう。
「……もう、いなくなって欲しくないだけだよ。」
Inkは何時になく、悲しそうに笑う。彼女への罪の意識だろう。そう思うと、胸を締め付けられるDream。
一応、Willeを通して、特徴を伝えたらしいが、今は忙しくなかなか会えないのだという。Museのことも心配だが、DreamはしばらくWilletaleに行っていないことを実感し、Inkの代わりにMiraに会ってみることにするよと、話す。
「……うん。そうしてくれると有難いよ。でも、本当にいいの？なんか、Dream、最近別の世界に行って忙しいみたいだけど。」
「……あー。うん、ちょっとね。でも、少しだけなら大丈夫。他の世界を放っておく訳にもいかないし。」
Dreamは思わず目を伏せた。そんな彼の様子を見てInkは心配になった。いつも明るいDreamがこんなに暗くなってしまうなんて、何かあったのだろうか？自分に出来ることはなんだろう、と考えるが、思いつかない。
「……無理はしないでね。僕も出来る限りのことをするから。いつでも頼って！」
「うん。ありがとう、Ink。」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
