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早くも今年の放烏が迫ってきている。山の中で訓練していた時もかなり熱かった。だから、本来なら私に物事を考える余裕は無いはずなのだ。なのだけれど。
炎柱様が亡くなった事は当然大事件で、私だって驚いているし哀しい。どこの誰だろうと、炎柱様に限らずとも、人間に限らずとも、簡単に喪われて良い命なんて無い。だから私は烏匠だ。剣を握る選択もあったけれど、それは兄に託した。あの兄なら、たくさんの人を救ってくれると、救ってくれていると信じている。
そう、その兄が
もしも、もしも命を落とした時
私は、兄が無事であるように、そして兄の願いを叶えようと、思ったけれど、命を落とした先の事を考えた事は無かったのだ。兄がいなくなっても私の命は続いていくのに。
遺された人間の苦しみは如何ほどか、なんてある種陳腐な問について、私は考える事を忌避してきた、無意識のうちに。そんなに知っているわけではない、一度お目に掛かっただけの炎柱様の殉職が哀しいのなら、兄だったら？
一個月ほど前兄と会った後、兄から送られてきた文はあっけらかんとしていて、まるで暢気なものだった。だから余計に現実味が無いのだ。引き出しを開けるとたくさんの仕切のうち一つに兄からの文が纏めてある。此方からは折に触れて豆に出しているけれど、兄からはたった三通だけ、手癖剥き出しの字。放烏の前になると思い出したように送ってくるのだ。
ああ、これがもしかしたら形見になるかも知れないのだ。遺された後、これが目に触れては哀しくなったりするのだろうか。泣きたくなったりするのだろうか。私の愛情深い母はどうなってしまうだろう。
他の仕切の中には当然他の隊士様からのものが纏めてあって、そして当然既に亡くなった方のものもある。言葉には魂が宿って、それが所謂言霊と言われているものだけれど、だから手紙は魂の欠片で、魂の塊で。
引き出しの中で一際場所を取っているのが冨岡様からの文だ。この十個月ほどで文の数はかなりのものになった。この方から頂いた魂の欠片達は私に色んな事を教えてくれた。言葉は足りなくとも思慮の深い方である事、惰性にならずきちんと寛三郎さんについて報告をくださる誠実さ、以外と周りを見ていらして心配もなさっている思いやり。
魂の欠片達の合間に垣間見えたのは、冨岡様もひとりの人間だという事。当たり前の事でも、私にとっては少し驚くような事だった。剣を握っても高みへ登り詰めても、そのひとは私と同じ人間なのだ。
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あさ(プロフ) - 光華さん» コメント自体は本当に有り難く嬉しいので、どうかお気を悪くされない事を祈ります。再度、コメントありがとうございます (2020年8月7日 7時) (
レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» 頻繁に改行をするものではなく、この書き方は私のポリシーとして出戻る前から確立されています。幼い頃から沢山の本を読み漁って確立された価値観ですので、申し訳ありませんが変える事は出来ません。占ツクでは万人受けしない事は承知の上ですが、ご理解お願いします。 (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。有り難い御意見ではあるのですが、途中で書きました通り指数が毎話ギリギリになってしまっていて、改行分の字数すら惜しいくらいになっています。それから、私の中での文章や小説というものは、(例によって字数が足りませんので続きます) (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 行間をもう少し空けたらどうでしょうか (2020年8月7日 6時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます！とても励みになります。割とこだわっている部分なので、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますのでお付き合いお願いします。 (2020年7月15日 0時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あさ x他1人 | 作成日時：2020年5月28日 1時
