はじめくんもしもシリーズ 1-3 ページ38
後日。
「A様、お花が届きましたよ。」
中庭で本を読んでいたAは鬱陶しそうに顔を上げる。
わたくしはまだ結婚やお付き合いなどそういった面倒くさいことはしたくない。するなら胸の焦がれるようなロマンスを...。
だがその花束ををちらりと見ると、無意識だったのだが本を閉じてしまった。...薔薇。きっとあの方から...。それを受け取る。青い薔薇は神の祝福。
ふと小さなメッセージカードがついていることに気がついた。そこには整った字で、『今夜貴女を迎えにいく』と綴られている。え?メッセージはそれだけのようで彼女は眉を顰める。迎えにいくって...。それに夜の外出は認められていない。屋敷から抜け出せない。
申し訳なく思いながらも、どうすることもできないので、彼女はいつも就寝する時間にベッドに入った。眠れない。彼が来るかも...でも無理...それに自分たちは前のダンスパーティーで初めて会ったというだけの関係。二人でしかも夜に会うというのはいかがなものだろうか。期待し、準備して待っているというのもはしたないことに思われた。
すると、コツコツ。音がする。ドア?違う...反対の方から...。Aはベッドから出てバルコニーの方に行く。
っ?!
「突然すまなかった。...起こしてしまったのだろうか?」
どうして、どうやってここへ?!だが彼の隣に天馬がいることに気がついた。
「天馬に乗れますの?」
天馬に乗れるの人間はなかなかいない。戦においても有利になるから天馬に乗りたがる人は多いが乗りこなすのが難しく挫折する人も多い。
「ああ。あんたと夜空が見たいのだが...共に来てはくれぬか?」
Aはドキドキと胸を高鳴らせた。天馬に乗ってみたかった。二つ返事受け入れる。斎藤が表情を緩める。が、すぐに顔を赤らめ背けてしまう。不思議に思ってAが尋ねると、その...あんたが夜間着だった故...と。部屋にかけ戻る。着替えて戻ってきたAに斎藤は再度笑顔を向けると、天馬にまたがり、手を差し伸べた。
「姫...お手を。」
斎藤の手を取ると、彼はグイっと彼女を天馬の上に引き乗せた。密着した身体ごしに熱が、斎藤の心臓の音が伝わり、Aは顔を赤くして、固まる。それを斎藤は怖がっていると勘違いしたのか、彼女に優しく囁く。
「大丈夫だ。何があってもあんたは俺が守る。」
そう低音ボイスで言われ、ときめかない女がいるだろうか。色恋事に疎いAでさえも平常心を保てないでいた。
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雛月のえる(プロフ) - いえいえw書いて貰うのに急かすのは性に合いませんのでw先に斎藤ようこちゃんさんのリクを優先しても構いませんので!!更新頑張れー (2015年1月13日 15時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 私の方こそありがとうございます〜。いつも楽しみです。♪ (2015年1月13日 8時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)
リリーラテ(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» そう言って頂けて嬉しいです!コメントいつもありがとうございます♪ (2015年1月13日 8時) (レス) id: 08492bea53 (このIDを非表示/違反報告)
リリーラテ(プロフ) - 雛月のえるさん» ありがとうございます!どのくらいお時間いただくことになるか分かりませんが、よろしくお願いします!m(_ _)m (2015年1月13日 8時) (レス) id: 08492bea53 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さん最高です。 (2015年1月13日 8時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリーラテ | 作成日時:2014年10月9日 19時