自覚 ページ37
「ごめんね、待たせたね」
「いや、問題ない。むしろこちらこそ世話になった」
「いいって、今日はゆっくり休んで」
「済まない、そうさせてもらう」
そんなやり取りをした後、Aと共に森を歩く。
いつの間にか日は落ちて月が昇っている。
Aの顔は何ともいえない表情だ。
着ていた服はどうしたのやら、今は別の物を身に付けている。
あれは彼女自身、気に入っていたし大切にしていたものだし、どこへやったのだろう。
まぁ大方の予想は付くが。
……どう声を掛けたら良いのだろう。
大した距離ではないはずの帰路がやけに長く感じる。
何とも居心地が悪く何か声を掛けようとしたその時、
『あ、あの……』
沈黙を破ったのは彼女の方からだった。
立ち止まって彼女の方を振り返る。
『その…ご心配とご迷惑をお掛けしてすいませんでした』
この森に溶けて消えてしまいそうな、そんなか細い声で謝罪するA。
「そう落ち込まなくとも怒っていない、ただ誉められた行動ではなかったことは分かるな？」
『はい』
「何故逃げなかった、己が力を過信するほど…そなたは愚かでは無いはずだ」
疑問に思っていたことを問いただす。
『それは……』
そう彼女は口を開くが、すぐ何かを思い正すように目を逸らして言葉を飲み込む。
「もう良い、言いたくない訳があるのだろう」
はっと顔を上げるA。
「だが、これから先私が助けることは出来ない。今回のようなことがまたあったらどうするのが適切か、この星で生きていくのだから。人を頼るように…な」
あと少しの間の関係。
であれば深入りするのも彼女の新しい生活の枷になるのでは。
ならばこれ以上聞くことはしない方が良い。
だが、そんなことを良いながら……私自身の為でもある。
目を逸らしてきたがいよいよ自覚しなくては。
情を掛けすぎて、別れが辛くなるのを恐れているのだ。
そう思った。
「もうこの事は良いだろう、行こう」
深く考えてはいけない。
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雪ごおり - (☆∀☆)メタ様カッコいいです…w頑張ってください！！ (2020年6月4日 10時) (
レス) id: a181824ba1 (このIDを非表示/違反報告)
渚 - ふくしあさん» 面白い！これだけ長く続くお話は濃いですねー (2019年7月29日 18時) (レス) id: 88dd243b5a (このIDを非表示/違反報告)
ふくしあ(プロフ) - すぴやなさん» ありがとうございます(*´ω｀*) (2018年4月2日 18時) (レス) id: 295c39c500 (このIDを非表示/違反報告)
すぴやな(プロフ) - d(´∀｀*d){ｲｲﾈ (2018年4月2日 17時) (レス) id: 55e82045e4 (このIDを非表示/違反報告)
ふくしあ(プロフ) - みつるんさん» ありがとうございます！そのように言って頂けて嬉しい限りです(*´∀｀)これを糧にこれからも頑張りたいと思います (2018年4月2日 15時) (レス) id: 295c39c500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふくしあ | 作成日時：2017年10月6日 16時
