深く不覚、愛して【東京喰種】

don't love22 ページ23

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カネキくんに妙な感情を抱き始めて、数週間。



カネキくんが、1日部屋に顔を出さなかった。



トイレに部屋を出ても、誰ともすれ違わない。




カネキくんがいないということは




ご飯が与えられないということ。






流石に、空腹を感じる。








勇気を出して一階に降りてみたけれど、誰もいない。何もない。



何処へ行ってしまったんだろう。



今この瞬間も、彼に見られているかもしれない



そんな恐怖も、最近では安心感に変わりつつあった。





そんな今、誰もいないこの家で感じる虚しさ。








貴「………カネキ、くん…」







寂しさが溢れて、壊れてしまいそう。



会いたい。会いたいよ







そこで、ふと。



強烈な匂いが鼻をさした。




……臭い



臭い？





血の臭い





どこから…









貴「…！あっ………、」







突如、部屋のドアが開いた。









荒い息遣いが聞こえる。







鉄臭さが、部屋に充満する。








貴「カネキくっ______」
























目の前が、真っ赤になった。








貴「………あ、







……え？」








ズク、ズク、と痛む首





生暖かいものが、肌を伝った。









……何だろう



これ





何が起こってるのか分からない






血


血


血





カネキくんの匂いがしない。





でも、確かにカネキくんが














私の首に














……噛みついてる。









貴「………あ」








そうか






私、食べられてるんだ







貴「あっ…ああああああ！」







状況を飲み込んだ途端、





感じたことのない痛みが、電流のように駆け巡る。







痛い






だけど






何で






カネキくんが








カ「っは……おいし……」









そっか






そっか







正気じゃないんだ。







また、誰かを傷つけてきたんだ。







また、……泣いたんだね。









「………痛い」





カネキくんの心が






見えた気がした






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