草食と見せかけて肉食でしたseason2【東京喰種】

together38 ページ43

もうすぐだ。







もうすぐ目の前に、カネキが待ってる。






あと、少し……







貴「カネキｯ……」









V14。







目の前に広がったのは、『花』に比喩されたおびただしい量の死。








貴「え……？」







その中央にいる人物。



カネキではない、誰か……







貴「…ありま…きしょー……」







じゃぁ、カネキは…？

どこにいるの…？







有馬「………『黒猫』か…」







貴「カネキ……カネキはｯ……」




ピッ、と指を指した。


おそるおそる、指の指された方を向く。









ねぇ、違うよね？




カネキじゃないよね？




死んでなんかないよね？








貴「あ……か…ねき…？」



ヨロヨロと歩み寄る。

肩を揺らしても、ただ血の感触だけ。




貴「ねぇ……違うよね…？すぐ治っちゃうよね…？」




乾いた笑いが、地下に広がる。





貴「ねぇ…やだっ…やだぁぁ！！」






せっかく、すずやが背中を押してくれたのに…



これじゃ…なんのために…







貴「死なないでよ！！置いていかないでよ！………ねぇ…」









血で濡れた手を握る。

彼の手の甲が、次第に小さな池になっていく。


言葉にならない感情が、余計に涙を溢れさせた。








貴「私を……選んでよ…







私を選んで………私のために生きてほしかったｯ！！」









わがままなんて言われたっていい。



もう一度やり直せるなら、何だっていい







だから……






貴「ゃだ…やだぁぁぁぁぁぁ！！！目…覚ましてよぉ！！」





泣いたって、喚いたって


帰ってこないと分かってるのに…




ｷｭｯ…


貴「…！」



一瞬。ほんの一瞬だったけど


確かに、握り返してくれた。





貴「…………ぅん…ずっと、一緒だよ…」








ｻﾞｼｭｯ









ねぇA。




もう一度生まれ変われるなら





人間として






愛し合いたいね

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