247話 街灯 ページ24
第2試合、大輝は辛くて寂しそうだったけどそれでも強かった。
有り余る力を全力で使って一人で何回もゴールを決める。
大輝は大丈夫だ。
あいつはきっと前を見続けることができる。
救うのには少し時間がかかるかもしれないけど、いつかまた笑顔でバスケをしてくれる日が来るはずだ。
問題は…
桃井「今日の2試合目のテツくん、調子悪かったですね。」
A「あぁ。」
お風呂の中で俺たちは会話をする。
俯きがちに話すさつきも寂しそう。
桃井「やっぱり青峰くんが変わったから辛いんですかね？」
A「それより俺はお前の方が気になんだけど。さつきは大丈夫か？」
桃井「私ですか！？大丈夫ですよ、もちろん。」
笑顔を向けるさつき。
でも、心の奥底からは寂しいという気持ちが溢れている。
A「ちょっと早いけど出ようか。食堂で話そう。」
風呂から立ち上がって俺たちは食堂に向かった。
そこにはもちろん、誰もいなくて2人きり。
薄暗い食堂の電気を付けると水を入れて目の前に座った。
A「辛い時は辛いって。寂しい時は寂しいって言え。じゃないと分かんねぇから。少しずつでいい、今思ってることを言ってくれ。」
桃井「……。」
何か言いたそう。
でも、言葉がまとまってないみたいで困った顔を浮かべながら俺の方を見つめる。
桃井「Aさん、私には何もできないんですか？みんなのことを見てると自分の不甲斐なさがたまらなくて…嫌なんです。しんどい、苦しい。私は外から見守ることしかできなんですか？Aさんみたいに、何かできることはないんですか？」
大粒の涙がさつきの目に溜まって呼吸を整えながらゆっくりと言葉を紡いでいく。
それを見て俺も苦しくなってつい頭を撫でる。
A「さつき、お前にしかできないことはたくさんある。あいつらの帰る場所になって欲しい。一番きついのはお前かもしれない…。できるか？」
桃井「帰る場所…。」
A「ずっとあいつらの横にいてあげてくれ。ずっとあいつらを見守ってくれ。真っ暗な中でボーッと輝く街灯のように。道標になってあげてくれ。」
なんかちょっと小っ恥ずかしくなって咳払いをして立ち上がるとクスッと笑う声が聞こえた。
桃井「なんか少し元気出ました。Aさんが頑張ってきた分、私が頑張らなきゃですもんね！」
A「やっぱお前は笑顔でいる方が可愛いよ。」
桃井「急にそんなこと言わないでください！」
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作者名：雪 | 作成日時：2019年2月27日 22時
