【文スト】君が良ければ僕も良し！【江戸川乱歩】

38* ページ42

「あーもう、イライラする……」


人の多い道の中、スカートのポケットに手を入れ私は不機嫌に歩いていた。


「あそこまで怒る必要なくない……！？」


だってちょっと間違えただけじゃん、いっつも乱歩さん食べてるし。






………………でも。

「………私の方が悪かったかなぁ。謝ってないし……」


ふと目の前の建物を見上げる。


「………帰ったら謝ろう」


私を誘うように開いた自動ドアに向かって足を運んだ。



＊


「もー、Aちゃんのバカバカ！！
僕は悪くないもん、Aちゃんが僕の駄菓子食べちゃうのが悪い！」


事務所を出て、どこに行くわけでもなくフラフラと歩き回る。
帰る、なんて言ったけど帰ったらAちゃんがいるような気がして帰りづらい。
もう少し歩き回って、夜になってから帰ろう。夜ご飯は事務所の下の喫茶店でおばちゃんにカレー出して貰えば良いや。



歩みを進めながらふと思う。



＿＿＿＿このまま喧嘩したままでいいの？

それに考えてみれば、僕が怒ってたことってくだらなくないか？



「………Aちゃん、許してくれるかな」



目の前のショーウィンドウを見つめて呟く。


からんからん、と鈴の音を響かせ僕は扉を引いた。

39*→←37.些細なことで２人が喧嘩*リク

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