想い。 ページ36
でもやっぱり入りにくいリビングの扉に立ち止まっていれば、アイリッシュがガチャッと躊躇なく腹が減ったと扉を開け放つ。
「お、今室ピン作ってるぜ?」
Aも突っ立ってねぇでこっち来いよと手招きをする兄に…小さく頷いては考えた。
安室さんだけじゃ、大変だろうな…と。
すると思考する私にアイリッシュが背を少し押した気がした…
『わ、私も…透さん手伝うから、後から…そっち、行くね?』
「お、マジ?分かった。」
笑う兄に、頷いては髪を纏めて安室さんの所に向かった。
──────────
side:拓真
「アイリッシュ…有難うな。」
「あ?何がだよ。」
この巨体が最初に好かれるとはなぁ…少し意外である。
室ピンやヒロ、秀一とは違い強面なアイリッシュに最初に好く俺のたった一人の妹であるAは、アイリッシュに何か感じるものがあったんだろう…
「…意外だな。」
「何がだよ?」
新聞片手にアイリッシュの言葉に返せば、お前の妹。と案の定だ。
「俺を怖がる所か、相談されたんだがな…」
「え?まじかよ…。」
それは少し予想外だ。
アイリッシュに何を相談されたのかを聞き出そうとすれば、内緒だと言われた。
「なんでだよ…」
「嬢ちゃんから口止めされてるからだ。(本当はされてねぇけどな…)」
「ほー?まぁ、別にいいけどよ。」
キッチンに目を向ければ、室ピンと並んで手際良く料理を手伝うAの姿が見える。
料理か…7年前から、潜ると分かった瞬間実家にはめっきり顔を出さなくなった。
下手に出入りしてAの身に何かあったら…?
そう考えれば自然な行動であったし、自分では最前だと、そう思った…はずだったのによ。
昨日聞いたAとルパン達の関係に悔しさが勝つ程俺は何も知らなかった。
7年の間に…Aはどれだけ苦しんだのだろう?
考えない事はない…。だが同時に今は離れていた分“Aを護ってやれる正当な理由”がある。
組織からベルモットを引き抜き、実質あと少しで壊滅に王手を掛けているそんな状態で、余計な危険を避ける為、海外にいるであろうAがよりによって俺が室ピンに変装中している最中、ポアロに訪れ出くわすとは思わなかった…
園子嬢がAをスカウトした事には感謝しかない
『兄様は出汁派なんです。』
「…意外だ。」
卵焼きの話かと耳を傾けていれば、懐かしい香りが届く
瞼裏に残る想い出と変わらぬ面影を残した儘、妹は少女から女性へ成長していた。
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明里香(プロフ) - 設定に誤字がありました。「家計」ではなく、「家系」です。 (2020年1月18日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
喜怒哀楽(プロフ) - 玲乃音さん» 玲乃音様コメント有難うございます!アウトドア派な兄とは真逆のインドア派であったが為の遭遇…知り合いだと最近思い出す妹ちゃんです…有難うございます!精進致します。 (2020年1月15日 20時) (レス) id: 65bce10cce (このIDを非表示/違反報告)
玲乃音(プロフ) - まさか……夢主達とジンは知り合い説…続き楽しみに待ってます (2020年1月15日 19時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
喜怒哀楽(プロフ) - ゆきなさん» ゆきな様コメント有難うございます! (2020年1月15日 2時) (レス) id: 65bce10cce (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 泣けた (2020年1月15日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:喜怒哀楽は見切り発車 | 作成日時:2019年12月31日 0時