記憶の人。 ページ37
「実家の美味さ…」
無理好きッと顔を緩める兄に此方もつられて笑った。
「上品な味ね…」
嫌いじゃないわと兄の卵焼きをサッと奪ったベル様に兄がおま!?俺の卵焼き!ッと若干泣きそうなのはどうなんだか…。
『味はお母さんとお祖母ちゃ…お祖母様から…。』
皆が好きな味…お祖母様は特に、私に沢山のことを教えてくれたっけな…
思い出すのは、小さい頃の話。
母も父も多忙で、広い屋敷の中スケートに出逢う前の私は、根っからのインドア派だった。
自宅の畳がある部屋がお気に入りで、良く祖母のお部屋にお邪魔していた。
ハーフで日本人とは程遠い容姿なのに、祖母は可愛い孫娘と可愛がってくれて…
だからごく普通の日本家庭の様に七五三もしたし…ご存命なら成人式だってさせるつもりだったらしい…
そのお祖母ちゃんの卵焼きが、私は大好き…。
キッチンに立つお祖母ちゃんに、良く熱い緑茶を入れたっけな…。
寒いキッチンでの仕事
前世で一人暮らしをしていたから分かる。
季節問わず、底冷えするあのキッチン
おじい様が書斎でのお仕事に、よくお祖母様が持って行っていて…
それで、小さな端を食べた犯人は…可愛い孫娘だな?なんて優しく笑ってくれたっけ…。
あ、そういえば…────
ふと思い出したのは、お祖母様が体調を悪くした日の事だ。
兄様とは違う銀髪の…
彼は、誰だっけ?
『兄様…家に出入りしていた人とか覚えてない?』
「なんだ、突然?」
食卓には私、ベル様、兄様、透さん(※苗字呼びが慣れない為)アイリッシュ、ピスコさんとキュラさんだ。
景光さんと秀一兄様はちょっとお外に…コナン君は朝ご飯を食べてから此方にくるらしい。
『いや…なんていうか。』
気になる人?というのは違う。
銀髪だから…?否、違う。
『引っ掛かる、奴なんだと思う。』
「…引っ掛かるか。」
零す兄に知らないよね…と小さく零した。
「特徴とか、覚えてないんですか?」
透さんの言葉に憶えていると返した。
『兄様とは違った銀髪で長髪の』
告げ終わる前に兄は立ち上がり…食卓の温度が何なら5℃程下がった。
予想している人でないといいのだが、この反応からして私の予想する人物は…
「A其奴何しに来てたんだ?」
『目的は知らないわ。唯何時も爺様に御用があったらしいの。』
爺様は私やお祖母様にその方を合わせない様にして居たみたい。
「…まじかよ。じっ様真逆の組織側の人間説?」
盲点だったと兄は深く溜息を零した。
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明里香(プロフ) - 設定に誤字がありました。「家計」ではなく、「家系」です。 (2020年1月18日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
喜怒哀楽(プロフ) - 玲乃音さん» 玲乃音様コメント有難うございます!アウトドア派な兄とは真逆のインドア派であったが為の遭遇…知り合いだと最近思い出す妹ちゃんです…有難うございます!精進致します。 (2020年1月15日 20時) (レス) id: 65bce10cce (このIDを非表示/違反報告)
玲乃音(プロフ) - まさか……夢主達とジンは知り合い説…続き楽しみに待ってます (2020年1月15日 19時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
喜怒哀楽(プロフ) - ゆきなさん» ゆきな様コメント有難うございます! (2020年1月15日 2時) (レス) id: 65bce10cce (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 泣けた (2020年1月15日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:喜怒哀楽は見切り発車 | 作成日時:2019年12月31日 0時