【あんスタ】夢ノ咲の天才作詞家【男主】 (ページ12)

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10話ページ12

なずなが放送室のドアを開けると、青い眼鏡の男の子が先に来ていた。

「二兎先輩！と…？」

「こんにちは、如月Aだよ。
なずなっちょのクラスメイトです。
もしかして君が「噂のゆうくん」？」

笑顔で尋ねると、案の定
目の前の男の子は目を丸くした。

「え、僕ってそんな呼ばれ方
してるんですか！？

確かに僕が遊木真ですけど」

「へぇーそんな名前なの、初めて知った」

「嘘っ！？」

「真ちん、サラちんは人のことを
あだ名で覚えることが多いから、
気にしてると大変だぞ」

「えへへ、いずみんが毎日
話してくれたからさ。
覚えただけでもえらいほうだよ～？
ボク、興味ないやつは
覚える気ないもん。

てか聞いても3秒後には忘れてる自信ある！」

「うわぁやっぱりソースは泉さんだった……

それより早く準備しないと
間に合わなくなりますよ」

「あぁあ！そうだった！真ちん急ぐぞ！」

Aはカゴいっぱいに
入ったCDケースを手に取った。

練習に使っていた曲などたくさんある。

「あ、これ……。

ねぇなずなっちょ」

見覚えのあるCDを一つ手に取ると、
なずなを呼んだ。

「んー？なんらサラちん」

「音楽ってリクエストしてもいいの？」

「良いぞ。というより、してくれ！
最近リクエストが少なくて困ってるんだよ」

「じゃあこれ流してくれない？
ボクのお気に入り」

「わかった」

CDを渡すと、なずなは慣れた手つきで
機材に入れた。

マイクの音量を調整したりと
放送委員会も結構面倒な仕事を
しているようだ。

「この曲ってよくレッスンのときに
使ってる曲ですよね？
如月先輩のお気に入りなんですか？」

「そう、この曲は一部の人しか
わからないんだけど、ボクの大切な人が
作った曲なんだ」

Aは、かごのCDケースの
ジャケットを一枚一枚見ながら答える。

「あー、これレオちんが作ったんだな。
気づかなかった」

「だって名前ころころ変えてるもん。
気づくほうがすごいよ。
けどレオぴの曲はなんとなく
ピンとくるんだよね」

Aは忌々しそうに
一枚のCDジャケットを見つめた。

このCDまだあったんだ……。
もう全て処分したと思ってたのに。