371話 ページ25
「信じらんねぇ。マジかよ」
それを聞いて上杉も、すぐさまのぼっていった。
「すげっ」
ひと言そう言って、おりてくる。
「小塚、行けよ。おまえが見た方がいい」
上杉に言われて、小塚くんは、おそるおそる挑戦した。
下から黒木くんに押し上げてもらい、枝にのぼった私や若武くんと上杉に引っぱりあげられて、なんとか目的の枝までたどりついた。
「こんなことって…」
そう言って絶句する。
その気持ちもわかる。
「次は、私の番よ。私にも見せて」
若武くんは困ったように、人さし指で頬をかいていたけれど、やがて言った。
「黒木か桜田、おぶってやれよ」
普段ならできるが、今は手が痛むからおぶってのぼるのはなぁ…。
「どうせなら」
そう言いながら黒木くんは、立花さんに手を伸ばした。
「ダッコの方がカッコいいよ。さぁ、妖精さん、木にのぼりましょう。若武、上杉、上から引きとってよ」
立花さんは男の子たちに任せて、私も木にのぼり、黒くゆれる麦畑を見つめる。
これだけの量があれば、少なくない人数が買うのだろう。
ミシアたちはそれで金を手に入れ、その裏では人生を狂わされる人がいる。
…吐きそうだ。
めまいがして木の上にいるのは危険と思い、とっさに飛びおりて木にもたれかかる。
腕で両目を覆いながら、めまいが去るのを待つ間も、上でみんなが話していることが耳に入る。
「麦を原料にして麦角を栽培してるんだ。ネットをかけてあるのは、飛散防止と虫よけだよ。もちろん、バレるのを防ぐためでもあるんだろうけど。たまたま折れた麦角の一部が網目の間を通りぬけ、風に乗って湖に落ちて、小塚先生に見つかったってわけさ」
「ものすごい量だな」
「どう見ても、人工栽培だぜ。違.法だ」
「違.法なの?」
「麦角は、アルカロイドをふくんでいて、幻覚剤L.S.D.の原料になる。L.S.D.っていうのは、日本や、その他多くの国で、麻.薬に指定されている薬なんだ」
「つまりここは、麻.薬製造所ってわけだな」
ようやくおさまってきたので、腕を外すと上杉が笑っていた。
「見えてきたな、今まで見えなかった[別のもの]が」
黒木くんがうなずく。
「たぶんミシアは、これを栽培するのに適した場所を探していて、この土地を見つけたんだ。で、土地の所有者であるラングに近づいた。そのあとのことは、今までオレたちが推理してきたとおりだよ」
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mio - 返信ありがとうございます!あまり無理をしないでガンバってください!! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - mioさん» コメントありがとうございます!更新はもうしばしお待ちください。お話は出来てるのですが、打つのが中々…。それでも、皆さんに少しでも早くお届けするため、がんばっております。これからもよろしくお願いします! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください!応援しています!! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 忍大好きマンNさん» コメントありがとうございます!皆様の応援を糧に、精一杯がんばっていきます。これからも読んでいってください。 (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ももりんごさん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。そこまで言っていただき、本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね♪ (2020年3月11日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年2月21日 13時