295話 ページ49
「あなた達探偵チームだって言ってたわね。私が雇うわ。お願い、助けて。お金ならいくらでも払うから。ここに泊まりこんで私を守ってちょうだい」
黒木君がそれを通訳する。
「もちろんお引き受けします」
黒木君を押し退けるようにして若武君はミシアの前に進み出た。
「僕達KZに任せてください。必ず事件を解決してみせますよ」
まるでこれを言うために生まれてきたといった感じで、自信満々意気揚々。
上杉がウエッという顔をして舌を出す。
それを見た立花さんと小塚君はクスクス笑っている。
ただ黒木君だけがどんな表情も浮かべず、少し悲しげに見えるその目でただじっと空中を見つめていた。
※※※
ミシアの家に泊まるには秀明ゼミの許可が必要だった。
小塚君を除いて私達は皆外出許可で出てきたので、外泊はできない。
ミシアはそれを知ると即寄宿学校の校長先生に電話をし、私達を家に泊めたいと話した。
校長先生はミシアの家に泊まれるなんて大層な名誉だし、きっと子ども達のいい思い出になるだろうとすぐ秀明ゼミの引率責任者に連絡し、オーケーを取ったのだった。
「やっぱ地元の名士の力ってすげぇよな」
若武君達は頷き合った。
「これが俺達だけの[お願い]だったら、絶対ハネつけられてたぜ」
「大人の組織ってそういうものだよね」
「まぁ、わかりやすくていいけどさ」
ただし条件がついていた。
それは外泊の許可を出すについては、秀明ゼミが、私たちの意思を確認しなければならないというもので、私たちは、いったん寄宿学校に戻って、ミシアの館に泊まりたいということを申し出ることになった。
「めんどーだな。電話とかでいいじゃんよ」
若武くんがブツブツ言うと、小塚くんが目を丸くした。
「そのくらい気をくばってくれる方が安心じゃん」
立花さんがポカンとしているので、黒木くんと説明する。
「秀明は、ミシアのことをよく知らない。もしかして誘.拐犯で、オレたちを全員、拉.致して、校長を買収して、そう言わせているのかもしれないだろ」
『電話で私たちの意思を確認しようとしても、状況が見えないから、おどされて言わされている可能性もある。だから直接、会って、様子を聞いて、不審なところがないかどうか確かめようとしているのよ』
「何かが起こったら、秀明の責任になるから警戒してんだよ」
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きょっちー(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとうございます!次はシンデレラです。私もKZのみんなと旅行したいものです。これからもお願いします! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年12月5日 19時) (レス) id: 21a29bd71d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - RiRさん» 返信遅くなってすみません!繰り返し読んでいただいているようで、本当にありがとうございます!駄作者のことまで気にかけていただいて…。これからも応援してもらえたら嬉しいです。 (2019年12月3日 16時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m気づいたら5周目ですww 応援しております。無理のない範囲で私に続きをお恵みください! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 三毛猫さん» ありがとうございます!ただ今、新企画も企画中ですので、そちらも楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年11月30日 15時