33話 ページ27
「本当のことをはっきりさせたい。もしアネキがそんなことをしているのだったら、早く止めたい。でないと、本人だって不幸になるばかりだもの。はっきりさせよう。僕、なんでも協力するよ」
やはり、この子は本当はいい子だった。
「ね、こうなることがわかってた?」
黒木君は立花さんを見て、わずかに笑った。
「図書室からこっそり本を持ち出してても、それをきちんと返すタイプなんだぜ。無断持ち出しだから、捨てちまってもわからないはずなのにさ。つまり、基本的にマジメなんだ。マジメなヤツは、ストレートだ。心が曲がってない。そういう人間は、よく考えさせてやりさえすれば、真っ当な結論を出すはずなんだ」
黒木君の人を見る目は、流石だな。
「じゃ電話をかけて、お姉さんの様子を探ってくれないか。たまには遊びにいきたいとかなんとか言ってさ」
若武君の要求に、金沢誠君は頷いた。
「もしそこに子どもがいれば、声が聞こえる可能性もある。できるだけ時間を引き延ばして、よく注意して聞いてみてくれ」
黒木君のアドバイスに、金沢誠君は手の汗を拭って受話器を持ち、ボタンを押した。
あの赤ちゃんがいた物置と家の距離を考えると、声が聞こえることはないだろう。
しかし、あの動物なら…。
「あ、姉さん?僕」
やっと話し始めた金沢誠くんの声は、緊張で震えていた。
「ん…別に用ってほどじゃないんだけど…なんとなく顔見たくて…」
酷く神経を集中させていながらそれを隠し、さりげないふうを装って喋らなければならないというのはとてもハードなことらしく、金沢誠君の額には、たちまち汗が吹き出してきた。
「たまには遊びに行ってもいい?…え、ダメ?…なんで!?」
若武君が、いいぞというふうに拳を握りしめ、揺さぶりながら囁いた。
「頑張れ!」
金沢誠君は、四苦八苦しながら何とか話を引き延ばし、向こうから色々と聞き出そうとしていたけれど、やがてはそれにも限界がきたらしく、彼は言いかけの言葉の途中で、私達を振り返った。
「切られた…」
私達は、一斉に大きな息をついた。
ちょうど3分ぐらいだった。
「何か掴めた?」
上杉君が聞くと、金沢誠君は首を横に振った。
「てんでダメ。何も話そうとしない」
そこら辺はそれなりに警戒しているようだ。
「子どもの声は聞こえた?」
黒木くんの問いも、やはり。
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きょっちー(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます!惚れましたなんてそんな(///∇///)ありがとうございます!これからも読んでくださいね〜 (2019年8月8日 19時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 甘納豆さん» 返信遅くなってごめんなさい!ありがとうございます。これからも頑張っていきます! (2019年8月8日 19時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - きょっちーさん» この小説を読んだ瞬間貴女に惚れました←w 更新頑張って下さい! (2019年8月8日 18時) (レス) id: fd2024614f (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2019年8月7日 20時) (レス) id: a4b65807ec (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ちーさん» コメントありがとうございます!頑張っていくので、待ってて下さいね♪ (2019年8月6日 12時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月24日 15時