604話 ページ10
「おまえ…」
和臣が、ものすごい目で美門をにらみつける。
「今の、わざとやっただろ」
美門は、その目に不敵な光をまたたかせた。
「あ、わかった？」
瞬間、和臣が空中に身を踊らせ、美門に飛びかかった。
組み合って倒れる2人に、和典と貴和があわてて飛びつき、引き離した。
「若武先生、落ち着け」
貴和が後ろから和臣を羽交い締めにしながら引きずり上げ、和典が美門を助け起こしてその背中を壁に押しつけ、目の前に立ちはだかった。
「美門、おまえ、くだらない挑発するなよ。オレたち、忍びこんでるとこなんだぜ」
美門は、切れた唇から流れる血を片手の甲で拭いながら、ふっと笑った。
「いや、若武があんまりにもブチ切れそうだったからさ、つい、からかいたくなっちゃって。どのくらい押したら、キレるのかなって思って」
和臣は、いっそう猛り立った。
「きっさま！」
押さえている貴和の腕を振りきろうとする。
「キレたらどうなるか教えてやる。黒木、離せっ！」
貴和は、和臣を押さえこむ腕に力をこめながら、後ろからその耳に唇を寄せてささやいた。
「静かにしないと、一発食らわせるぞ。ここで気絶したいのか」
とたん、和臣は一気にシュンとなった。
まぁ、貴和は空手2段だものね。
さて…。
私は美門に歩み寄り、その額にそこそこ本気でデコピンした。
ドゴンという音に、和彦が目をつぶる。
「っ〜…！」
『この駄犬が、バカなことしてるんじゃないの。次、和臣』
和臣は全力で貴和の腕から抜け出そうとしているが、一瞬の隙を突いて、美門と同じ痛みになるように指をぶつけた。
『さ、行くわよ。私と美門が先導するわ』
額をさする美門が立花さんと和彦、貴和を、私が和典と和臣を先導する。
私たちは、エレベーターの前で足を止めた。
「ほら」
エレベーターの表示、7階で止まっている。
『北森秀雄が乗っていったのよ。2人で7階まで行って、気配と匂いで秀雄が入っていった部屋を確認してきたわ』
「あいつ、どこに入ってったと思う？」
皆が固唾を呑む。
「院長室だ」
残念ながら、会話までは聞こえなかったけどね。
「おもしろくなったな」
貴和が、艶やかなその目に笑みを浮かべた。
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです！今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます！これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか？無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます！テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年8月6日 22時
