603話途中まで彩Side ページ9
そのビルの敷地は、道に面した簡素なブロック塀で囲まれ、内側はコンクリートで固められていた。
立ち木なんかは全然なく、ブロック塀から2、3メートル入った所にビルがあって、出入り口が見える。
脇には、大きなポリバケツがいくつも置かれていた。
「ここ、裏口だろ？」
そう言いながら黒木クンが、その目に不敵な笑みを含んだ。
「なるほどね」
私には、黒木クンの言葉の意味がまったくわからなかった。
それで、ポカンとしていると、黒木クンがくすっと笑ったんだ。
「ごらんよ」
親指を立てて、ビルの上の方を指す。見上げると、その屋上に取り付けてある看板が目に入った。
赤い字で、斎藤総合病院と書かれている。
あ、ここって、秀雄がクビになった製薬会社と癒着してる病院っ！
※※※
Aside
秀雄の行き先を見届け、私と美門は外に向かった。
ドアの前まで来ると、皆の話し声が聞こえた。
「あいつ、なんで、ここに来るわけ？製薬会社、クビになったんだろ。しかもこんな時間に裏口からなんて、完璧、普通じゃねーじゃん」
「今日の休日診療当番病院は、ここじゃないよ。つまり、急な病気でもない」
ドアノブに手を伸ばすと、和彦の感嘆したようなつぶやきが聞こえてきた。
「けど美門って、超人的な嗅覚なのかぁ。すごいな」
伸ばした手が止まる。
なぜ和彦がそれを知ってるんだ、気付くような要素はなかったはずだ。
「どうした？」
『…ねぇ、自分の力のこと、誰かに話した？』
「立花は知ってるけど」
…なるほどね。
今度こそドアノブをひねり、私たちは外に顔を出した。
『来て』
皆が入ったのを見てドアを閉めると、中はほとんど真っ暗になる。
所々に非常灯の緑の明かりがついていて、皆の顔は、薄ぼんやりとしか見えない。
「誰か、電気点けろよ」
和典に言われて、壁のそばにいた立花さんは、電気のスイッチに指をかけた。
止めようとすると、その前に美門が立花さんの手に自分の手を乗せ、胸の中に抱えこんで口をふさいだ。
「静かに！この廊下の突き当たりが、警備室だ。明かりも大声も、まずい」
そう言って美門は腕をゆるめた。
立花さんは、大きく肩で息をしている。
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです！今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます！これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか？無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます！テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年8月6日 22時
