602話彩Side ページ8
2人の後を追っていると、上杉クンが不思議そうに言った。
「あいつ、本当に目が見えたのかよ。結構遠いけどな」
あの時、桜田さんの隣には翼がいた。
「もしかしたら、タスクが気付いたのかも。あの家の下水の臭いとか」
「下水の臭いって、なんなんだよ」
「タスクは、超人的な嗅覚の持ち主みたい。金属の臭いとかも、わかるんだって」
小塚クンが目を丸くする。
「それって、物理的にはありえないことだよ。でも、そういう才能を持った人間がいるって話は、聞いたことがある。いろんなものから漂う匂いを嗅ぎ分けられるから、暗闇でも歩けるんだって」
ん、私、見たから。
「お、いたぞ」
私たちより先に行ってしまっていた若武を、黒木クンが見つけた。
「あそこだ」
若武は、ビルの間に身をひそめていた。
桜田さんと翼の姿は、見当たらない。
私たちが近寄ると、若武は黙ったまま指を伸ばし、前方を歩いていく人々を指した。
その一番後ろに、翼がいる。
「Aの後を追ってる。オレたちは、美門をつけていけばいいんだ。一番近いのはAだし、こっちの方がバレにくい」
なるほど。
「あ、曲がった。行くぞ」
若武は、ビルの間から出て道の門まで行き、そこにあった建物に身を寄せて向こうの様子をうかがった。
「若武先生も、ずいぶんプロっぽくなってきたね」
黒木クンがからかい、上杉クンがフンと鼻を鳴らす。
「カッコつけすぎじゃね？」
瞬間、若武が大きく腕を回し、来いというサインを出したんだ。
自分は、突進するように角を左に曲がっていく。
「行こう」
私たちは走り出し、若武の消えた角を曲がった。
そこは並木道になっていて、若武はそれを横断し、さらに右を曲がるところだった。
「見失うぞ。急ごう」
私たちは、あわてて足を速め、若武が曲がった道の角まで駆けつけた。
その向こうは、裏通りという感じの、薄暗く人の気配のない細い通りで、少し行った所に若武が立っていた。
桜田さんも、翼も、秀雄も姿がない。
上杉クンが舌打ちした。
「まかれちまったのか」
黒木クンが、かすかに首を横に振る。
「そうでもないんじゃないかな。行ってみよう」
私たちが近づいていくと、若武がこちらを見た。
「ここに、入りやがった」
そう言いながら目の前にあるビルを見上げる。
「Aと美門がくっついてる。オレは一度、秀雄と会ってるし気配も消せないからな。バレた時、とぼけられないから、やめたんだ」
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです！今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます！これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか？無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます！テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年8月6日 22時
