600 ページ6
授業終わりなので、和典や和彦と一緒に入ると、貴和以外のレギュラーと犬っころがいた。
そして間もなく、貴和も入ってきた。
「それでは、リサーチ会議を始める」
いつものように和臣が、目いっぱいカッコをつけて言った。
「まず上杉調査員の報告」
和典は、いつものように両手を上げて後頭部で組み、ソファの背に寄りかかった。
「初めに言っとくけど、たいした情報じゃないよ。関連情報っていうだけ。夜、親と食事してたら、北森秀雄がクビになった製薬会社の話題が出たんだ」
ああ、和典のご両親は医者だったわね。
「その製薬会社って、うちの母親のとこにも来てるらしい。あの製薬会社は、売りこみがきついって母が言い出して、父がこう答えたんだ。いろいろ問題がある会社だからねって」
和臣が、眉根を寄せる。
「製薬会社と医者の関係は?」
和典は、椅子を鳴らしながら体を戻し、腕を組んだ。
「同じ効き目を持つ薬でも、いろんな製薬会社がいろんな薬を出してるんだ。
オレたちがドラッグストアに行くと、風邪薬一つでも、いろんな製品があるだろ。
医者が出す薬も、それと同じ。
どれを出すかは、医者が決める。
各製薬会社は、医者に自分の薬を使ってもらおうとして、病院を回って売りこむんだ。
特に、新しい薬が開発された時には、それを使ってもらうために、製薬会社の営業係が必死になる。
いったん使ってもらえれば、そこから上がる利益は莫大なんだ。
薬は、儲かる商売だからさ。
使ってもらうために、売りこむだけじゃなくてサービスもする。
医者に贈り物をしたり、パーティーや旅行に招待したり。
そのために各製薬会社は、年間10億を越える予算を組んでるんだ」
皆の目が、一気に真剣になった。
「マジかっ?!」
本当に好きよね、この手の話題。
「すげぇ…」
和臣がため息をつく。
「オレ、製薬会社に就職しようかな」
美門が、少し笑った。
「それより、製薬会社に接待される医者になった方がいいんじゃない?」
和彦が首を傾げる。
「でも、そんなに予算があると、きっと買収が起こりやすいよね」
貴和が、和典に視線を走らせた。
「上杉のお父さんの言ってた、いろいろ問題がある会社って、つまり、そういうことなんだろ」
和典は、切れ上がったその目に冷ややかな光を浮かべた。
「北森秀雄が勤めていた製薬会社は、昔から、大手の病院の院長や理事長に金を渡して、自社の薬を使わせているっていう評判が立っている所らしい」
61人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです!今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます!これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか?無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます!テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます!面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます! (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きょっちー | 作成日時:2020年8月6日 22時