643話 ページ49
実際やられてみると、美門の体の柔軟性、動きの素早さ、切れの鋭さには驚いた。
「次、スワイプス、ダブルウィンドミル。バックハンドスプリングからバックフリップで締める」
大きなバック転を2度くり返し、そして空中で1回転して、美門は、トンと床に降りた。
皆が拍手を送った。
もちろん、私もね。
「すげぇ、さすが優勝者」
「1つ1つがきれいに決まるよねぇ」
和典がつぶやいた。
「ベストなのは、やっぱ、体育用のジャージじゃね？」
…否定しにくいことを言うのはやめて。
「じゃ来週の土曜日、ここに集合だ」
和臣がそう言い、私たちが解散しようとした時だった。
視界の端を、何かがかすめたのだ。
空中庭園の木の下だ。
「立花、桜田、どうしたの」
美門に聞かれて、同じく気づいたらしい立花さんが、木の下を指さした。
「あの辺りに、何かいるみたいなの」
和典が笑った。
「ここ屋上だぜ」
和臣が、大声を出す。
「もしかしてオレたちの優勝を阻もうとするスパイかっ？！」
それは無いでしょう。
『鳥でも迷いこんだのかもしれないわね』
「見てみよう」
美門と窓に近づき、ガラス戸を開けた。
「あれ、これ、何の匂いだっけ」
そう言う美門と庭に入って木の間を探る。
すると、黒い1匹の子猫が、小さく鳴いて私たちを見上げていた。
「なんだ、おまえか」
『おいで、何もしないから』
四つん這いになって手を差し出すと、子猫は数回匂いをかぎ、私の手に頭をこすりつけた。
そっと抱き上げ、皆の所に戻る。
『この子だったわ』
皆が私の周りに集まった。
子猫は私の首もとにすりすりしている。
どこかの誰かさんのおかげで、最近の私には猫ブームが来ている。
特に黒猫。
「だけどさ」
和彦が当惑したようにつぶやく。
「ここ、最上階だよ。どうやって上がってきたんだろう」
確かに、ドアはカードキーだし…。
「このフロアのスタッフか、それとも、工事関係者の誰かが連れてきて、忘れてったんだよ」
普通、猫を忘れるかしら？
「もしかして非常用の階段を上ってきたとか？」
立花さんがそう言うと、和典が、片手を猫の手のように丸めて突き出した。
「これで、非常階段のドアを開けられるとでも思うのか」
人間が開けた時に、スルッと入ったなら説明はつくわね…。
その時、子猫を美門に奪われた。
「この猫」
美門が眉をひそめる。
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです！今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます！これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか？無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます！テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年8月6日 22時
