642話 ページ48
「明日、音楽とパターンをもらえれば、すぐルーティーン作って、その後の1週間で練習できる。衣装の方も注文できる。で、1週間で完成させて、来週の土曜日に最終チェックをして、次の1週間で直しと仕上げをする。予選は、その翌日なんだ」
本当にギリギリね。
「おまえ、そんなスケジュールで、よく頭突っこむ気になったな」
和典が、信じられないといったように首を横に振った。
「オレだったら、エントリーやめてる」
和臣は、ニヤッと笑う。
「そこが、天才と凡人の違いでしょ、上杉先生」
和典はメガネを取り、たたんで胸ポケットに入れた。
「ここへ来い。1発、殴ってやる」
2人の間に入り、頭をつかんでその場を収める。
『とにかくやってみましょうよ』
貴和もうなずいた。
「さすがに明日は無理だから、集合は1週間後ってことでどう?
オレと小塚とAで曲を作る。
それまでに若武と美門で、だいたいのルーティンを決め、技を磨いておいて、曲ができたら予選までの1週間で仕上げるんだ。
衣装の方は、予選に間に合えばいいだろ。
来週の土曜日までにデザインを決めて、その後、型紙を起こして、仕立てに出す」
美門が思いついたように顔を輝かせた。
「仕立ては、祖父の店のスタッフに協力を頼もう。2、3日もあれば、やってくれると思うから」
和臣は、満足そうな顔で皆を見回した。
「決まりだ。上杉、型紙を作れよ」
和典が、くやしそうに舌打ちをする。
和臣は、それをあっさりと無視して話を進めた。
「では、ブレイク・ダンスの技をご披露しよう。パフォーマーは、美門翼」
美門は、驚いたようだった。
どうも、事前の打ち合わせはなかったようだ。
またずいぶんと無茶ぶりを。
「ずいぶんやってないから、急にできるかどうかわからないよ」
そう言ったが、和臣は、これもさらりと無視した。
「いいから。やれよ」
美門は、しかたなさそうにジャケットを脱ぎ、私の方に放り投げた。
「ハンガー」
『持っててください、でしょ』
キャッチした瞬間、ふわっとラベンダーの香りがした。
…美門の鼻の許容範囲って、どこまでなのだろう。
「美門、マスク取れよ。お前とオレの顔は、オレたちユニットの武器だ」
和典が、またウエッという顔をした。
「オレの言う通りにやって見て。モーションは任せるから。まずブロンクスから入って、アップロック、パワームーブ、ウィンドミル、エアートラックス、そこまでやって」
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです!今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます!これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか?無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます!テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます!面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます! (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年8月6日 22時