639話 ページ45
純白や淡いピンク、強烈な赤から紫、グリーン、青、黒、ゴールドやシルバー。
どれもスカート部分が長く、足首が隠れるくらいまであって、とても華やか。
襟元や肩には、透明なレースやフリル、リボンがふんだんに使われていて、スパンコールやクリスタルビーズで飾られ、全体がキラキラと輝いていた。
「これ、何?」
和典が呆然とした表情で聞き、和臣が得意げに説明した。
「ドレス。結婚式や披露宴、ステージやソーシャルダンスの発表会で着る。ここは高級フォーマルドレス専門店なんだ」
あることを思い出し、ドレスを順番に見ていると、後ろから貴和と和彦、それに和典の話し声が聞こえた。
「小塚は、結婚する時、結婚式って、する?」
「するよ。彼女の花嫁姿、見たいもん」
「どこですんの?」
「ホテルかな?」
「オレ、絶対、神社」
「え、上杉って、神様、信じてるの?」
「そうじゃない。ホテルって、つぶれることあるだろ。
今の日本の首相が打ち出してるアベノミクスって結構、不安定だから経済の変動があるかもしれない。
そしたらどんな大きなホテルだって、倒産の危機にさらされる。
それでつぶれたら、後には何も残らないじゃん。
神社だったら、絶対につぶれない。
日本が存続する限り、存在し続けるんだ。だから神社」
「つまり上杉先生は、自分たちが愛を誓った場所が永遠であってほしいと願ってるんだろ」
「へぇ、意外にロマンチストだよね」
実は意外でもなかったり。
その時、ロイヤルブルーのマーメイドドレスが目に入った。
光沢のある生地の、シンプルなものだ。
『ねぇ、貴和。小さくて着れなくなったドレスの新しいの、これなんてどうかしら』
貴和が歩み寄ってきて、ドレスをじっくりと見た。
「うん、A似合いそうだね。けどそうなると寒色系ばかりになっちゃうし、こっちとかどう?」
そう指差したのは、シルキーピンクのプリンセスライン。
小さなパールビーズが縫いつけられたスカートはキラキラとしていて、腰には少し濃い色のリボンが巻かれている。
『とても綺麗だしかわいいけど、私にはかわいすぎないかしら?』
「似合うと思うけどな」
貴和の中の私って…?
「おい、こっちだ」
和臣が、ショーウィンドーの中央にある自動ドアの前で手招きする。
そのドアには、大きな字で[ミッキー・ミランの店]と書かれていた。
中からドアが開き、美門が顔を見せる。
「やぁ、いらっしゃい。どうぞ」
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです!今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます!これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか?無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます!テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます!面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます! (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年8月6日 22時