636話 ページ42
『そうでしょう?和臣は、今までそれでやってきた。
今回の件は、和臣にとって初めての挫折なのよ。
KZ内では、もうかなりの噂になっているし、和臣は、それに耐えられないの。
不動のスーパースターだったのに、突然、落ちたんだから。
それで、こう判断したんだと思うわ。
転落したって言われるのはカッコ悪い。
それより自分から蹴って、降りたって言われる方がましだって。
監督にかみついたのは、わざとよ。
監督を怒らせて、除名処分まで持っていくつもりだったのよ、初めからね。
これでカッコ悪さは回避できた。
で、貴和パス』
貴和は軽く苦笑して、口を開いた。
「次の段階として、ダンス大会なんだ。
昔やってたことがあるし、美門はその時の優勝者だから、ユニットを組めば優勝も夢じゃない。
大会で若武の名前が輝けば、KZのメンバーも注目するよ。
若武は何をやってもできる、運動神経バツグンだもんな、KZは大事な選手を失ったよ、監督の判断は軽率だったんじゃないかってことになっていくだろ。
もちろん秀明側だって放っておかない。
理事長かなんかが出てきて、今度の全国大会で優勝した若武は、秀明で新規生徒を募集する時、宣伝に使える。
若武がKZに所属していれば、KZの広告塔にもなる。
KZに戻せって話になるよ。
若武は、絶対そこまで計算してる。
そういう話が持ち上がってきたら、自分をトップ下に戻すように交渉するつもりなんだ。
そのために何が何でも優勝したい。
それでオレたちの活動からも身を引いて、ダンスに集中しようって思ってるのさ。
若武の選んだ道は、ある意味、逃げだよ。
だけど元に戻るための、逃げだ。
それは戦略の1つとして、アリだろ。
若武の人生は若武のものだから、どんな道を選ぶかは本人次第なんだし」
『私たちは友人として、和臣の選んだ道を応援しましょうよ。
それが逃げることなら、どこまでも逃がしてあげればいい。
逃げながら和臣は、自分の計算通りにKZに戻ってくるかもしれないし、逆に新しいものを見つけて、逃げ道を本当の道にするかもしれない。
あるいはひどく失敗して、てんでダメになるかもしれない。
和典の言ったように、すごく嫌な子になるかもしれない。
でも、そしたらその時、また一緒に考えていけばいいじゃない』
「それに、オレは、さ」
そう言いながら貴和は、少し笑った。
「見てみたいんだ。若武先生がどこまでやるのかをね。どこまでできるのか、見てみたい」
和典が、皮肉な笑みを浮かべる。
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです!今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます!これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか?無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます!テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます!面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます! (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年8月6日 22時