597話 ページ3
「うまくいかなかったら、どうしようって思って、頭ん中、パニくってたんだ。でも、よかった」
美門は、体中から吐き出すような大きな息をついた。
「だってさ」
ジャケットのポケットに両手を突っこみ、立花さんに目を向ける。
「あんなに若武が嫌がってたのに、オレがKZに参加できることになったのは、おまえが力を貸してくれたからだろ」
凜とした光をきらめかせる2つの目の、片方だけをわずかに細めて、じっと立花さんを見た。
「違う？」
言い当てられた立花さんは、少し赤くなる。
「当たりでしょ？」
そう言って美門は、その唇にふっと笑みを含んだ。
「だったら、割り当てられたことをきちんとできなくっちゃ、おまえに悪いからな。頑張ったんだ」
ほっとしたようなその顔は、やはり中学生なのだな。
美門は、次に私の方を見た。
「ま、おまえも協力してくれたしな。あの涙はやりすぎだと思うけど」
『いいじゃない、美少女の涙。情報料よ。今は無料配布中なの』
「美少女って、誰が？」
『その目で探してみなさい。それより、調査を進めるわよ。1軒の家の証言だけじゃ心許ないわ。反対隣の家と向かいの家、裏にある家にも回って、同じことを聞いてみましょう』
そうして私たちは、3軒の家を訪ねた。
出てきたのは、2軒が女性で、残りの1軒が老人だったが、3人とも、最初の女性と同じような証言をした。
「よし、終了だ。行こ。ここ臭すぎる」
『ええ。ここまで虐待の事.実はないわね』
けどそれにしては、秀雄の目が引っかかる…。
「これ、事件じゃないのかもね」
立花さんがそう言った時、向こうからやってくる和典と和彦の姿が見えた。
「あれ、もう終わったの？」
美門の声に、和典は肩をすくめた。
「聞きこみ不能」
「秀雄の旧住所には、確かにマンションがあったんだけど、それ、製薬会社の借り上げマンションなんだ。つまり社宅ってこと」
だから引っ越してきたのね。
「管理人がいて、セキュリティもバッチリ。中に入れやしないんだ」
和典が続ける。
「出入りしてるのは、ブランド品で身を固めた夫婦や、着飾ったガキばっかし。高い給料もらって、いい生活してるって感じだったよ」
「そっちはどうだった？」
美門は、首を横に振った。
「虐.待の事実なし」
和典も和彦も、驚いたようだった。
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです！今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます！これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか？無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます！テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年8月6日 22時
