611話 ページ17
頭にノイズがかかったように、前の私がやって来たことがよみがえる。
今の私が、侵食されてしまいそうだ。
「A？」
後ろから肩を叩かれ、バッと振り返ると、今の私を繋ぎ止めてくれる存在。
「遅くなってごめん。顔色悪いけど、どうしたの」
無意識に入っていた体の力が抜け、貴和に抱き止められた。
「Aっ！」
『だ、大丈夫、何でもないわ…』
和彦があわてて家の中に入っていく。
貴和の私を抱きしめる腕が強くなった。
「こんなに震えてるのに、何でもないわけないだろ」
家の中を捜査していた和臣たちが飛び出してきて、美門を抱えて家の中に入っていった。
私も立ち上がろうとしたが、その前に貴和に抱き上げられて皆に続いた。
1階の部屋に下ろされると、和臣が私の前に立った。
「何を見たのか、聞いていいか」
『大量の髪の毛と歯。両方とも人間のものだと思うわ。髪が下水管口をふさいでいて、それでトイレとお風呂場の水が流れなくなっていたのよ』
私の隣では、美門が壁に寄りかかりぐったりとしている。
あまりに気分が悪そうなので、位置をずらして私の脚を枕に寝かせてやる。
『おそらく啓太郎のものだとは思うけど、確証を得る方法はあるかしら』
私が聞くと、和彦がうなずいた。
「重かったから今日は持ってこなかったけど、この間、DNA分析装置を送ってもらったんだ。
NECが開発したもので、かなり早く分析できる。
家に置いてあるから後でやってみるよ。
でも状況から考えて、やっぱり髪も歯も啓太郎のじゃないかな。
薬品で溶かしてトイレに流したんだと思う。
溶けきれなかった部分がつまったんだ」
和典が舌打ちする。
「つまりさ、オレたちが最初にここを訪ねた時、本人はすでに下水の中だったってことかよ。会わせられないはずだ」
和臣がうなずいた。
「オレたちを急いで追いはらおうとしたわけも、清掃業者を頼めなかったわけも、これではっきりした。殺.人だ」
和彦が、あわてて口を開く。
「そうとは限らないよ。親子の仲はよかったって話だし、啓太郎は心臓が悪かったんだから、病.死かもしれない」
和典が、信じられないといったような冷たい眼差を和彦に流した。
「病死だったら、普通、医者に届けるだろ。下水にゃ流さねーよ」
和彦は、首を傾げる。
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです！今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます！これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか？無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます！テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年8月6日 22時
