606話 ページ12
貴和のベッドでゴロゴロしていると、お風呂から上がった貴和が私の髪に触れる。
『短くって、触りがいないでしょう』
「いや、フワフワしてて気持ちいいよ」
しばしの無言の後、口を開いたのは貴和だった。
「美門が俺をにらんでた理由って、このベッドかな」
やっぱりわかっちゃうわよね。
『そうよ。たまに男臭いって言われることがあって、それは必ずあなたと寝た翌日。その臭いが貴和からしたからでしょうね』
「なるほどね。けど、Aもずいぶん対応が違うよね」
『そうね。もしかしたら私が願っていたやり取りを自然としてしまっているのかも』
前の私が願っていた、友だちとの悪ふざけ。
バケモノ扱いをするでもなく、腫れ物に触るようなでもなく。
『ま、気に入らないのは確かだけど、嫌いでもないからね。守ってあげたい対象ではあるわ』
だから、素晴らしい才能をもったあの子が、笑顔で過ごせるように。
※※※
次の日の秀明休み時間、カフェテリア。
「リサーチ会議を始める」
和臣はまだ、どことなく不機嫌だった。
「記録係、昨日までの記録を全部、読み上げろ」
立花さんの記録によれば、謎は全部で4つ。
その1、北森家では、つまっている下水管を、どうして掃除しないのか。
その2、秀雄は、なぜ、あれほど愛想が悪かったのか。
その3、自分の父親を、人に会わせようとしない理由は何か。
この2と3は、私たちが訪問した時、秀雄が父親を虐.待中だったと考えれば、理解できる。
というのが皆の意見。
しかし近隣の家から聞きこんだ情報によれば、虐.待の事実はない。
私もその線であることを願っている。
私の行き着いた最悪の推理は、外れていてほしい。
その4、秀雄は、すぐに会社をクビになっており、仕事を失っているのに、今さらなぜ病院長に会いに行ったのか。
立花さんがこれらの説明を終えると、じっと聞き入っていた和典が口を開いた。
「最後の謎だけど、秀雄が勤めていた製薬会社には、病院の院長や理事長を買収しているって噂があっただろ。秀雄もその買収に関わっていて、斎藤総合病院の院長と関係ができてたってことだよな。それで今も会ってるってのは、つまり会社をクビになっても、切れない部分があるってことじゃね?」
「病院も」
貴和が言った。
61人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです!今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます!これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか?無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます!テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます!面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます! (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きょっちー | 作成日時:2020年8月6日 22時