595話 ページ1
和臣と貴和、それに立花さんと美門、私は北森啓太郎の家まで引き返した。
「じゃ、成功を祈る」
和臣は片手を上げ、敬礼してから貴和と一緒に、北森家の駐車場に踏みこんだ。
そこから裏の方に回っていく。
私は家を見上げた。
『やっぱり、洗濯物を干していないわね』
周りの家はたいてい、ベランダや軒下に洗濯物がかかっている。
特に今日はいい天気だしね。
けれど北森家では、何も干していない。
洗濯しないのか、できないのか…。
「さて、どうやって聞きこむの？」
美門に聞かれて、立花さんは少し考えた。
「暇そうで話好きの主婦を探すっていうのは、どう？」
それは…。
美門は、少し目を細めた。
「おい。それでオレが、いいねって言うとでも思ってる？そんな主婦、どこにいるんだ。いないだろ。頼むから、現実をわきまえた話をしてよ。おまえ、KZのレギュラーなんだろ。臨時雇いのオレに、こんなこと言われるなよ」
情けなさそうな顔で立花さんを見ていた美門は、親指で自分の鼻先をこすった。
「どっかで、下水がつまってるな。たまんないくらい、臭」
私はそんな美門の襟首をつかんだ。
『じゃ、現実的に聞きこみしに行くわよ。あんたのその顔の皮を使うのよ。もちろん、私のもね』
手はそのままに北森家の隣の家に歩み寄り、そこのドアフォンを押した。
やがてドアフォンの向こうから、無愛想な女性の声がした。
【セールスなら、お断りだけど】
『すみません。あの、お隣の北森さんはお留守でしょうか？ドアフォンを押しても、返事がないんです』
立花さんがつついてくるのを、美門が払ってくれた。
ドアフォンから女性の声が流れ出る。
【さぁ。返事がないんなら、いないんじゃないの】
『私、北森さんの息子さんの、前のマンションの者なんです。少しうかがいたいことがあるんです。5分でもいいので、お時間をいただけませんか？お願いします』
もちろん嘘だけどね。
さぁ、相手は…。
【しょうがないわね。今、行くから】
女性はドアフォンを切り、やがて玄関から姿を見せて、こちらまで歩いてきた。
その人に向かって、緊張しているように軽く頬を染め、安心したような笑みを見せる。
『すみません、ありがとうございます』
美門もうまくやっているらしく、女性は一瞬、息をつめて立ちつくした。
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きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» もちろんです！今は少し忙しいので遅くはなってしまいますが、番外編の方にコメントしていただければ、喜んで書かせていただきます！これからもよろしくお願いしますね (2020年8月22日 18時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 久しぶりに書かせていただきます。しばらく見ていなかったのですが、更新されていて一気に見てしまいました。また仲良くしてくださいますか？無理のない範囲でいいので、コメントやリクエストに答えてくれると嬉しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: f43e9245c3 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 天愛さん» コメントありがとうございます！テスト等の都合でお休みはもらっても、やめることはありません。むしろ駄作者もこれどこまで続くんだろうと、先が見えてない状態なので…。なので安心して、これからを楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年8月11日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 早く続きが見たい!!とっても面白いのでやめたりしないでくださいね!更新応援してます!ファイトです! (2020年8月11日 15時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえる度、駄作者のモチベーションは上がっていきます。これからも、楽しんで頂けるよう頑張っていきます！ (2020年8月8日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年8月6日 22時
