10話 ページ10
「ご、ご安心ください。これは、私たちがご用意したお水でございます」
メル王子は一瞬バツの悪そうな顔をしたが、すぐに顔を背けてメイドに言い放った。
「もういい、下がってくれ。一人にしてくれ」
メイドたちが出ていき、カイルが声をかける。
「我々は外にいます。落ち着かれたら、お声をかけてください」
ドアが閉まったのを確認して、メル王子は懐中時計を取り出した。
その時計は写真を入れられるようになっていて、サクラ女王がジル王子に後ろから抱きつかれ、2人が笑っている写真が入れられている。
「お母様…無理だ…。オレに、できるわけ無い…」
そう言葉をもらし、その瞳からもどんどん涙がこぼれていく。
「屋上を見てくる。今は誰も入れるな」
カイルは部屋の前に待機するSPに告げ、階段に向かっていった。
メル王子は自分のバッグを漁る。
「(もう嫌だ、耐えられない)」
そこからライターを取り出し、天井に目を向けた。
※※※
会議室では、高木刑事の報告が続いていた。
「王子を毒殺しようとした男は、金で雇われただけだと言っています。ただのイタズラで、中身は下剤だと聞かされていたと。今のところは、素直にしゃべっていますが」
「頼んだ相手のことは?」
「今日初めて会った男で、外国人だったそうです」
目暮警部が呆れたように言う。
「全く…。わずかな金で、簡単に犯罪に手を染めるとは…」
そしてキースさんに目を向ける。
「こちらに入っている情報では、反王子グループなる過激な分子もいるとか。あなたたちだけで、守りきれますかな?」
キースさんはこちらに背を向けたまま、きっぱりと言った。
「現時点で、我が国から日本の警察に要請することは、何もありません」
高木刑事が怒ったようにキースさんに歩み寄ろうとするのを止めながら、目暮警部が私の方を向いた。
「ところで、Aちゃん。よくソムリエが、偽物だと分かったね。どこで分かったんだね?」
『その人物とすれ違った時、タバコの匂いがしたんです。一流のソムリエはタバコを吸われないので、不審に思ったんです』
キースさんも今はこちらを見ているようで、視線を感じた。
なので軽くそちらを見て会釈しておいた。
毛利さんがタバコを吸うジェスチャーをしながら言った。
「まぁ、中にはタバコを吸うソムリエもいるかもしれんが、少なくともこれから王子にワインをすすめるって時には、吸わねぇだろうな」
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月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました!もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか?とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました!ありがとうございます!(´▽`) (4月20日 15時) (レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして!警察官でしたシリーズ、とても面白くて1日で読破してしまいました!私も黒木くん大好きです!我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です!これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます! (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません!忘れていただけで、ルパコナ1は終わっています。2は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか?まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください! (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 12時