8話 ページ8
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メル王子の前にはマイクが置かれ、左隣にはスーツの男性が座っている。
「あのぉ、メル王子、何か一言、お言葉を頂戴できれば…」
司会がそう言うも、何も反応しないメル王子に会場がざわつく。
隣の男性が椅子から立ち上がり、マイクを取って話し始めた。
「メル王子は初めての来日を、心より喜んでおります。」
「おいおい、後ろのヤツがしゃべりだしたぞ」
「うぇっ、王子、感じ悪」
「仮にも一国の王子様が、ホテルのレセプションにわざわざ来るか?」
毛利さんと園子さんは不満げだが、この状況がわからないでもない。
このホテルの名前、サクラサクホテル。
亡くなったサクラ女王は、自分の名前と同じ、日本のサクラが大好きだった。
そのサクラをコンセプトにしたこのホテルのレセプション、急な事故がなければ、本人が出席できたはず。
普通なら、王子も来日中止になるところだけど、ヴェスパニアの国としては、今は利権も絡んで、日本に貸しを作りたいところ。
大人の都合に振り回されて、不機嫌にもなるわよね。
司会のする質問に、マイクを持った男性はどんどん答えていく。
「日本で行かれたい場所は?」
「メル王子は、昔から京都に行ってみたいと」
「あ、はい。では、お好きな日本の食べ物は…?」
「王子はお寿司が大好きです」
「何だよ、みんなあいつが答えてるぞ。ちょっと、これ持っててくれ。トイレ行ってくる」
毛利さんは呆れたように会場を出ていってしまった。
中学生にワイン預けないでよ…。
「では、ここで改めて、メル王子に乾杯のご発声をお願いしたいと思います。皆様、どうぞグラスをお持ちください」
その声と共に会場の証明がつけられる。
園子さんが、空のグラスを見ながら大袈裟に言った。
「あ、ビックリ、ジュース無いっ」
『…私、もらってきますよ』
ワイングラスを近くのテーブルにおいて、グラスが置かれている方に歩き出す。
「あらぁ、Aちゃん、悪いわね」
目が取ってきてくれって言ってたわよ…。
私も持ってないから、いいけどね。
その時、前からカートにワインを乗せたソムリエが歩いてきた。
王子様が飲まれるものだろう。
いざソムリエとすれ違った時、不可解な匂いがした。
え?まさか…。
※※※※
サクラサクホテル PM06:37
メル王子の前に置かれたグラスに、ワインが注がれた。
「では、メル王子、乾杯のご発声をお願いいたします」
司会の声に王子がグラスを持って立ち上がった時、
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月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました!もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか?とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました!ありがとうございます!(´▽`) (4月20日 15時) (レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして!警察官でしたシリーズ、とても面白くて1日で読破してしまいました!私も黒木くん大好きです!我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です!これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます! (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません!忘れていただけで、ルパコナ1は終わっています。2は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか?まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください! (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 12時