7話 ページ7
キースは王子の声を遮り、厳しい声で言い聞かせる。
「では、母上が進めてきたこのパーティーを中止して、悲しんでくださってる日本の皆様に何も言わずに帰りたいと」
「うるさいっ!」
「王子様…」
王子の悲痛な叫びに、2人のメイドは見ていることしかできない。
キースはスーツの袖をまくり、腕時計を確認した。
「予定の時間を過ぎている。早く王子の支度を」
「は、はい」
「メル王子…」
指示を受けたメイドたちは、王子を刺激しないようにそっと近寄った。
「大っ嫌いだっ」
小さく叫んだその声が、聞こえた者はいたのだろうか。
※※※※
パーティー会場では、Aたちのもとに毛利が戻ってきていた。
その時点でわかるようなことを園子は改めて聞いた。
「で、いた?ヨーコちゃん」
「いませんでしたっ…」
毛利の悲痛な声に園子は笑ってしまう。
その時、会場の照明が落とされ、司会の男がマイクを持った。
「皆様、大変お待たせ致しました。どうぞ、盛大な拍手でお迎えください。本日のサプライズゲスト、ヴェスパニア王国、メル王子のご登場です」
赤い重厚なカーテンがめくられる。
その向こうに正装をしたメル王子とキースが立っていた。
SPたちは無線で連絡を取り合う。
「王子が出た。全員、客から目を離すな。この時点で会場を出ようとするヤツには、必ず張りつけ」
「了解」
「こちら、正面受け付け。しばらくここの入り口は、閉じます。来場者は、サイドの扉に回します」
「聞いたな、B班」
「了解」
※※※
メル王子の登場に、会場は浮き足立っている。
王子は白い軍服のような正装に、短く赤いマントを青い宝石のブローチで留めている。
「どうぞ、お座りください」
司会の声にメル王子が、ステージの中央に置かれた長机の方に歩く。
メル王子が座る椅子をホテルマンが引いた。
そして座ったことにより、正面から見えた顔に驚いた。
黒く真っ直ぐな髪が肩近くまであり、甘く悲しげな目元の整った顔…。
貴和?
「黒木くんにそっくり…」
園子さんも驚いているようだが、王子の方を向いた毛利さんは不満げに言った。
「ん?黒木くんはあんなしかめっ面しねぇよ」
…するときはするけどね。
※※※
貴和side
電車に乗ってサクラサクホテルに向かっていると、小さくくしゃみが出た。
薄着すぎたのかな。
時計を見るとパーティーはとっくに始まっている時間。
園子さん、機嫌損ねてるだろうな…。
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月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました!もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか?とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました!ありがとうございます!(´▽`) (4月20日 15時) (レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして!警察官でしたシリーズ、とても面白くて1日で読破してしまいました!私も黒木くん大好きです!我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です!これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます! (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません!忘れていただけで、ルパコナ1は終わっています。2は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか?まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください! (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 12時