警察官でした。〜ルパン三世VS薊の少女〜

47話 ページ47

「今、ヴェスパニアはその力を手にいれようとしている。新たなるエネルギー！世界が欲しがる無敵のパワーをな！」

キースさんは、メル王子の方に体を向けた。

「キース！」

「キース様！」

メル王子に近付きながら、話し始める。

「我がスティンガー家は、王家に仕えて200年。私の体に流れる血は…」

言ってやりなさい。

メル王子を守るようにその前に立ち、ジラードに向き直って叫んだ。

「最後の1滴までヴェスパニア王家に捧げる！」

おじ様が嬉しそうな声を上げる。

「決まったぜぇ！」

しかしその手に、銭形警部が手錠をかけた。

おじ様が驚いたように叫ぶ。

「ええっ、何これぇ？」

その手錠には縄が結ばれ、しっかりと銭形警部が握っている。

「そろそろ暴れそうだったからな。どさくさに紛れる、いつものパターンだろ？ルパン」

「あれぇ、バレてた？」

「オレのことをとっつぁんって呼んだよな？」

「ありゃあ、でも何でこんなタイミングで？」

そう言いながらマスクを外したそこには、確かにおじ様の顔が。

「お兄ちゃんがカッコよく決めてるのに。とっつぁん空気読めよ。KY？」

「知ったことか。オレはおまえさえ逮捕できりゃそれでいい！」

キースさんの態度と2人のやり取りに、ジラードが怒声を上げる。

「貴様ら！」

メル王子がジラードをにらみながら言う。

「本当に、全て、叔父様の仕業なのか？！」

「ああ、姉さんにはこの国は任せらん」

※※※※

ジラードの頭の中で、サクラ女王とした話し合いの場が思い出される。

「本格的に鉱石採掘が始まれば、このヴェスパニアの自然は失われます！」

「分かってない！この国が今、どれだけの価値があるか！」

「分かっていないのはあなたです。利益を得る代わりに私たちは、かけがえのない大切なものを失う。考えが小さいのはあなたです！地球を食い物にしてきた人間はやがて、地球に見捨てられます。それさえ分からなくなったのですか？！」

※※※

「野心なき王など、もはや王の器ではない。その子どもたちに代わったところで、結果は同じ」

野心だけの王では、国民はついていかないでしょうけどね。

メル王子が怒りを含ませた声で言う。

「それで兄も、オレも…！」

ジラードがリモコンを高く上げ、ジラードの味方の衛兵が下がっていく。

「残念だよ、キース。だがおまえの望み、最後に叶えてやる」

ジラードに向かって走り出そうとしたその時、ビコンという機械音が聞こえた。

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