警察官でした。〜ルパン三世VS薊の少女〜

45話 ページ45

『そういう風に言うということは、逆にあなたはどうしても事故だったということにしたいのね。この銃が、サクラ女王を撃った銃だと』

「だから？」

『すり替えたのでしょう？』

ジラードの余裕な笑みがわずかに崩れる。

『ライフルマークのこともあるし、王子を殺.害した後、あなたは自分の銃とすり替えた。でしょう？』

ジラードは少し腕を広げて、呆れたように笑って見せた。

「もういいんじゃないか？どうしても殺.人事件にしたいのなら、証拠ってヤツを…」

私は、ジラードに手にしていた猟銃の銃口を向け、トリガーを絞った。

激しい銃声があたりに木霊する。

メイドさんたちから悲鳴が上がる。

「Aっ？！何してるの？！」

慌てた声で言う貴和に優しく言った。

『空砲よ』

ジラードも腰が抜けたのか、尻餅をついた状態で呆然と繰り返す。

「く、空砲？」

私は猟銃を肩にかけながら、かなり冷たいであろう笑みを向けた。

『おかしいわね、ジラード。何故、あなたが驚いているの。この銃は、あの日あなたが使っていた銃よね？私はカイルさんに、あの日にジラード公爵が使用していた銃を持ってきてくれるよう、お願いしていたのよ』

カイルさんがしっかりと返してくれる。

「はい、そう言われました」

『ということは、自分の銃の弾が空砲だと知らずに猟をしていたのね？』

ジラードがゆっくりと立ち上がってくる。

『サクラ女王はスポーツと称して、動物たちの命を奪う狩猟がお好きではなかった。ジル王子にもそんな遊びはしてほしくなかったはずです。そこで女王は、弾丸を抜いた弾をジル王子に渡された』

机の下に落ちていた金属の塊は弾丸、白い粉は火薬だったのだ。

「お母様…」

メル王子のかすかなつぶやきが聞こえた。

『その様子は、カイルさんたちが詳しく、事故のファイルに書かれていましたよ』

横から銭形警部が口を挟んでくる。

「しかし、一国の女王様がそんな銃の知識があるとは、思えないが」

おじ様がふざけた声で答える。

「いい質問だぜぇ」

『黙ってて』

それを厳しく制してから、小さく息をついて再び口を開く。

『サクラ女王の部屋に置かれていたトロフィー、スポーツがお得意だったんですね。お若い頃、近代五種競技で優勝なさっています。その5つの競技とは、馬術、水泳、ランニング、フェンシング、そして射撃です。トロフィーの中にジラード、あなたが優勝した時のものもあったわ。つい3年前の射撃大会のものがね』

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