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43話 ページ43

「皆さんに集まってもらったのは、他でもありません。先程、王宮金庫の中からヴェスパニア・クラウンが盗まれました。その犯人とヴェスパニア・クラウンの行方を探るため、出来るだけ城の人間を少なくしたのです」

そこで私は、銭形警部のコートの袖を引いた。

『銭形警部、申し訳ありません。先に私の方からいいですか?』

「え?」

『私の突き止めた泥棒は、まだ何か企んでいるようなので』

不敵に笑ってみせた私に、警部は迫ってくる。

「泥棒?ルパンのことか?!」

その言葉を首を振って否定する。

『いいえ。ルパンよりも質の悪い、お金では手に入らない命という宝を二つも奪った泥棒ですよ』

この場にいる全員の顔を見まわした。

『…そう、この中にいるんです。サクラ女王とジル第一王子を殺.害し、メル第二王子をも殺.害しようとしている、殺.人犯という泥棒が』

「えぇっ?!」

その場にいる全員が、驚いたように声を上げる。

『私は本来、このような大勢の場での推理は好きではないのですが、今回はそんなことを言ってられません。今、話させていただきます』

困ったような笑顔を作っていたのを止め、顔を引き締めた。

『全ての発端は、あの不幸な猟銃事故。あれは事故ではありません。事故に見せかけた殺.人だったんです。』

「殺.人?!し、しかしルパンは…?」

話を遮ろうとした銭形警部を、毛利さんが止めた。

「まぁここは先に、この子にしゃべらせてくれっかな、とっつぁん。」

話し方に違和感を覚えていると、背中に隠すようにビデオカメラを見せつけてきた。

あのカメラってもしかして、泥棒のおじ様?

毛利さんの顔で不敵な笑みを向けてくる。

いいわ、期待に応えてあげる。

私は改めて、王宮の人たちに向かい合った。

『あの日、ジル王子は丘の上から、桜の木の陰にいたキツネを狙って銃を撃ったところ、キツネを逃がそうと飛び出したサクラ女王に命中してしまったのだと、ジラード公爵は証言しました』

おじ様が貴和に向かって声をかける。

「そうですよね、メル王子」

しかし、その問いには柱の影にいたメル王子が答えた。

「ああ、そう聞いている」

「え、そっち?」

おじ様のその言葉に、毛利さんだと思っている貴和は、苦い顔で言った。

「毛利さん、また間違えたんですか…」

ジラードがキースさんに向かって問う。

「なぜ、あの男の子がここにいるんだ?」

キースさんは厳しい目でジラードを見た。

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月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました!もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか?とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました!ありがとうございます!(´▽`) (4月20日 15時) (レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして!警察官でしたシリーズ、とても面白くて1日で読破してしまいました!私も黒木くん大好きです!我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です!これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます! (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません!忘れていただけで、ルパコナ1は終わっています。2は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか?まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください! (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 12時

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