38話 ページ38
※※※※
メル王子と不二子を乗せ、ルパンが運転する車もまた、ヴェスパニア王宮に向かっていた。
「国王になる決心は、ついたのか?」
ルパンの問いに、メル王子は素っ気なく答える。
「仕方ないから帰るだけだ。まだ国王になるなんて、考えてない」
不二子が髪を結びながら口を挟む。
「国王になろうがなるまいが、私の仕事は送り届けたらおしまい。またよろしくね」
メガネをかけて弁護士スタイルの不二子に、ルパンは苦笑しながら言う。
「出た、不二峰子。ぼったくんだろうな」
「何か言った?」
「何も!」
不二子はふと外を見て、ルパンに声をかけた。
「あ、止めて!」
「何よ?」
「女の子には、色々必要なのよ」
そう言って車を降り、店に入っていった。
扉のすぐそばには、様々なボールがたくさん積まれていた。
※※※
貴和side
ヴェスパニア王宮 PM03:45
メル王子の帰還に、メイドさんたちが嬉しそうに叫ぶ。
「メル様っ!」
オレの前に立ったメル王子は、険しい顔で聞いてきた。
「怒ってるか?」
オレは笑顔で答える。
「怒ってません」
王子が納得してない声で言う。
「どうしてだ?おまえをこんな目に合わせたんだぞ」
「それは、王子がされたことではないじゃないですか。全てうかがいました」
王子が勢いよく、メイドさんたちの方を見た。
「おまえたち?」
メイドさんたちは、必死に手を横に振って否定する。
「キース伯爵からうかがったんです」
「キースが?」
※※※※
別室では、キースが不二子の前に黒いアタッシュケースを置いた。
中には現金がぎっしり詰まっている。
「ありがとうございました」
不二子はそのケースの蓋を閉めながら微笑む。
「いいえ、これも仕事ですから」
アタッシュケースをテーブルから下ろす不二子に、キースは確認のように問いかける。
「現金でよかったのですか?小切手や振り込みでも構わなかったのですよ」
口許に手を当てながら、不二子は言い放つ。
「私、現金以外信用してないんです」
「そうですか?それで、王子は楽しんでいましたか?」
不二子はしっかりとした声で言った。
「はい。朝まで1人の男の子として、一時王子を忘れることができたと思うわ」
キースが嬉しそうに笑う。
「そうですか」
「優しいのね。あの子に、本当のこと言っちゃえば?1日だけでも自由な時を与えてあげたかったって」
その言葉に不安を覚えたのか、キースは焦ったように言う。
「まさか」
49人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました!もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか?とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました!ありがとうございます!(´▽`) (4月20日 15時) (レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして!警察官でしたシリーズ、とても面白くて1日で読破してしまいました!私も黒木くん大好きです!我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です!これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます! (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません!忘れていただけで、ルパコナ1は終わっています。2は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか?まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください! (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 12時