34話 ページ34
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王宮貴賓室
ソファに座ったジラードは、帽子を取った銭形から、ルパンについて聞いていた。
「それで、ルパンは本当にヴェスパニア・クラウンを?」
「はい。まず、間違いなく」
「しかし、ルパンは一度ヴェスパニア・クラウンを盗もうとして諦めたのでは」
「今までヤツが諦めたことはありません」
ジラードはバカにしたような笑みを浮かべる。
「お話は分かりました。ですが、ルパンにはまた諦めてもらうしかありませんな。あのセキュリティシステムが破られるなら、クラウンは差し上げてもいい」
銭形はジラードを少し厳しい目で見ながら、帽子を被った。
「ぜひ、そうなって欲しいものですな」
立ち上がった銭形に、ジラードは軽く止めるように言う。
「別室に食事も用意してありますが」
銭形はそれに応じず、ドアの前に立った。
「先に宝物庫を見ておきたいので」
SPがドアを開けながら、外で待っていたもう1人のSPを指す。
「あちらの者が、案内致します」
「どうも」
銭形が出ていきドアが閉まると、ジラードは嘲笑うような声で言った。
「せいぜい大騒ぎをしてくれたまえ」
※※※
貴和side
毛利さんが少し落ち着いてから、オレたちは交互に今の状況を説明し合った。
キースさんが呆れを含ませた顔で笑った。
「これで納得していただけましたか?」
腕組みをした毛利さんが噛みつくように答える。
「するわけねぇだろ!」
少し息をついて、オレは毛利さんと向き合った。
「毛利さん、Aだけでは、また無茶をするかもしれません。Aのところへ行ってあげてください」
「まだあのジラード公爵が犯人だと決まった訳じゃねぇ」
「しかしあの場所には…」
毛利さんはキースさんを横目に見ながら言う。
「甘いな。こいつらが言ってるだけかもしれん。あんたも伯爵なんだろ。後釜狙ってジラードを犯人に仕立てあげるってこと、あるよな」
オレの後ろに立っていたメイドさんが、素早く反応する。
「そんなっ!キース様はあの日、王宮にいらっしゃいました」
毛利さんは不敵な笑みで言った。
「直接手を下さなくても、プロのスナイパーを雇えば簡単なことだ」
プロのスナイパー…。
おそらくメイドさん2人の頭にも、あの黒帽子の男が浮かんでいるだろう。
毛利さんはしたり顔で笑う。
「おや?心当たりがあるんすか?」
キースさんは胸元から電卓を取り出し、それを打ちながら口を開く。
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月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました!もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか?とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました!ありがとうございます!(´▽`) (4月20日 15時) (レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして!警察官でしたシリーズ、とても面白くて1日で読破してしまいました!私も黒木くん大好きです!我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です!これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます! (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません!忘れていただけで、ルパコナ1は終わっています。2は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか?まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください! (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 12時