29話 ページ29
「寂しい話だぜ。メル王子がいなくなって喜ぶのは、次の王位継承者。この嬢ちゃんにだって、誰が黒幕か分かるだろう」
次元さんは私の頭に手を乗せながら言うが…、やめろ。
キースさんは動じることなく答えた。
「はい。2人を事故に見せかけ殺.害したのは、ジラード様に違いありません」
そんなキースさんを、次元さんは鋭く見る。
「おいおい、おめぇが言っていいのか?」
「もう、証拠が見つかってるんですね?」
貴和の言葉に、キースさんは首を横に振った。
「いえ、何も。私たちは、代々王家に仕えてきたもの。もちろん、ジラード様にも」
「自分たちじゃ動けねぇから、オレたちに頼むってことか?この国の司法も、地に落ちてるってヤツだな」
「王家の者を裁けるのは、国王のみ。今のメル様には、まだその権限がありません」
「へっ、おめぇらは19世紀か?」
笑いながら言う次元さんは、やる気があるのか?
「頼みます。もう時間がありません。戴冠式のパレードが、明後日に行われることになりました」
貴和が驚いたように言う。
「そんな、それまでに本物の王子が現れなかったら…」
貴和がパレードに…。
私は次元さんとキースさん、カイルさんと部屋を出た。
そして私はキースさんと向かい合った。
『キースさん、貴和をお願いします』
「もちろんです」
『はい、あなたの目には、優しい色がありますから。その色を本来向けるべき人が安心して暮らせるよう、私も全力を尽くしてきます』
キースさんは軽く目を見開いた後、優しく微笑んだ。
「よろしくお願いします」
※※※
貴和side
部屋の窓から、次元という男とAが出ていくのが見える。
「A…」
「貴和様、カーテンをお閉めください。どこから狙われてるやも知れません」
メイドさんの声にカーテンを閉めながら、そちらに目線を向けた。
「様なんてやめてください。僕は身代わりですよ。お二人はずっとメル王子の傍に?」
「はい。私は5年前からお仕えしています」
「私は3年前に王宮に上がりました」
「僕、王子の破天荒なところしか知らないんです。幼少の頃からそうだったのですか?」
2人はオレの言葉に、少しずつ顔を曇らせていった。
「いいえ、とても優しくて、涙もろくて…」
「そのメル様がまだ…」
そしてついにその目から涙がこぼれ始めた。
「まだ?…ゆっくりでいいですよ」
メイドさんは口許に手を当てながら言った。
「人前で、泣かれてないんです」
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月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました!もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか?とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました!ありがとうございます!(´▽`) (4月20日 15時) (レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして!警察官でしたシリーズ、とても面白くて1日で読破してしまいました!私も黒木くん大好きです!我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です!これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます! (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません!忘れていただけで、ルパコナ1は終わっています。2は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか?まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください! (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 12時