25話 ページ25
だんだん黒木の言葉がゆっくりになり、ついに黙ってしまった。
それを見ていたキースは笑みを浮かべる。
紅茶に入れられた睡眠薬により、眠らされたのだ。
カイルがドアを開け、キースに声をかける。
「フライトの準備、整いました」
キースは胸元から睡眠薬のビンを取り出し、皮肉げに言った。
「さすがおまえを蹴り飛ばした子だ。やっと効いたよ」
カイルを見て、指示を飛ばす。
「運べ。すぐに飛び立つ。」
会見会場では、ちょっとした騒ぎが起こっていた。
司会者がマイク越しにしきりに繰り返す。
「えぇ、急遽本国の都合により、会見出来なくなりました。お静かにっ！」
毛利が司会者に走り寄り、その胸ぐらをつかむ。
「言えっ、今あいつらはどこだ？！」
「もう出発するところですっ！」
司会者の言葉を聞いたAは、走って会見会場を出た。
王室専用機が、待機場所からゆっくりと動き出す。
Aはボーディング・ブリッジの先端から飛び降りた。
膝で吸収しても尚大きい衝撃に顔がゆがむが、またすぐに走り出した。
飛行機は滑走路に向かいながら、管制塔と連絡を取る。
【王室専用機B-1027、離陸を許可する。グッドラック】
「サンキュー、管制塔。協力を感謝する」
そしてついにターボエンジンが動き出す。
機内の一室には、眠った貴和とキースが座っている。
滑走路で助走をつけた飛行機は無事に離陸し、一定の高さまで登った。
「ギアアップ」
「アップします」
機長の指示でギアがゆっくりと上がっていく。
その前輪には風圧に耐え、しがみつくAの姿があった。
ターミナルの屋上に出た毛利は、飛び去った飛行機を見て呆然とつぶやいた。
「黒木くんっ…」
悲しげな毛利に、高木は声をかけられずにいた。
その時、目暮が屋上にやって来て声をかけた。
「ここにいたのか。すぐに出発するぞ、毛利くん」
目暮の言葉に高木は嬉しそうに笑みを浮かべる。
「ええっ、追いかけるんですか？！」
「私たちは無理だ。行けるのは毛利くん、君だけだ」
「って、どういうことですか？」
屋上にもう一人、トレンチコートに中折れ帽の長身の男が入ってきた。
「紹介しよう。私の友人、ICPOの銭形警部だ」
「あんたが探偵の、毛利小五郎くんかな」
突然現れた男に、毛利は、呆気に取られたように返した。
「あ、はい」
「銭形警部はある任務でのみ、世界中どの国でも捜査権が認められている。そう、ルパン三世の逮捕だ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月(ユエ)(プロフ) - はじめまして✨警察官でしたシリーズ、全て読みました！もしかしてシリーズ14以降は執筆しない予定ですか？とっても面白い話なのでもっと見てみたいなというのが本音です。私も小説を書いたりするので、書き方とても参考になりました！ありがとうございます!(´▽｀) (4月20日 15時) (
レス) id: 554e8a3ec4 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - はじめまして！警察官でしたシリーズ、とても面白くて１日で読破してしまいました！私も黒木くん大好きです！我慢しすぎちゃう桜田ちゃんと心配して怒る黒木くんが最高です！これからの黒木くんとの恋模様、楽しみにしてます！ (2021年3月10日 19時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» すみません！忘れていただけで、ルパコナ１は終わっています。２は展開的に書けるようならいつか書ければ…という感じです。しかし、コナンコラボは続きます。今も執筆中ですので、そちらを楽しみにしていただければ嬉しいです！ (2020年7月5日 21時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 続く・・・って、完結じゃ、ないんですか？まだ続くのなら、楽しみにしています。 (2020年7月5日 17時) (レス) id: daa172df0e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！私も書いてみたいお話だったので、とても楽しかったです。最後がおかしくなってしまいしたが…。またお気軽にコメントしてください！ (2020年6月21日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きょっちー | 作成日時：2020年6月21日 12時
