警察官でした。〜ルパン三世VS薊の少女〜

22話 ページ22

目暮警部が去ったのを見て、園子さんが高木刑事に近づいて言った。

「ちょっと、早いとこわがまま王子を捕まえないと、黒木くんが」

「そんなこと、分かってますよ！」

高木刑事も自棄のように返すが、園子さんも負けていない。

「じゃあ、なんで捜索願いが認められないの？」

「そんなこと…、ええっ、なんでわかるの？」

「あんたたちの態度を見てて、わからないヤツはいません！」

…確かに。

しかし何故なの？

邪魔をする必要があるのかしら。

このまま貴和に、身代わりを続けさせる意味があるの？

貴和の捜索願いは、本物の王子が戻ってくる方法かもしれないのに…。

毛利さんは追い詰められたような顔で、高木刑事に問いかける。

「高木…。もしもの時は、力を貸してくれるな」

高木刑事もはっきりとうなずく。

「もちろんです」

「命賭けんでしょうね」

肩に腕をかけて言った園子さんにも返す。

「も、もちろんです！」

※※※※

ヴェスパニア鉱石を探して、石の山を登っていたルパンの手のダウジングが激しく反応し始めた。

「おおぉぉぉっ！来てます、来てます！ここっ！」

2本のダウジングが合わさった所にあった1つの石をつまみ上げる。

「君だったのね、会いたかったよぉ」

「見つかったのか？」

「ああ。とびきりの上玉だ」

ルパンは下にいる次元に向かってその石を投げた。

「あ、おいっ！こんな石ころが、世界を変えるってか？」

次元はその掌に収まってしまう石を訝しげに見る。

ルパンは石の山を滑り降り、次元の前で少し悪い顔をしながら話す。

「想像してみな…。そいつを積んだミサイルが、いきなり頭の上から降ってきたら…。どこから撃ち込まれたかも分からず、いや、撃ち込まれたかも思わねぇかもな」

「まだそんなことやってんのか、世の中は」

2人は下りてきたロープを今度は逆に上っていき、地上に這い出て車に向かって歩いた。

「終わりはねぇよ。今じゃ、宇宙からのぞきが出来る時代だ。街中カメラだらけじゃ、隠れたくもなるだろ」

「やましいヤツはな」

「泥棒が言うなって。この石がほかのきな臭ぁい国で見つかんなくてよかったぜ。何せこのヴェスパニアは自然と平和しか…」

仕事を終えて安心していた次元だが、あることに気づき冷や汗を流す。

「ああっ！」

「何？その[ヤベェ]みたいなああっは？」

次元は答えずにいつも被っている帽子を取り、服に着いている黒い小さなフードを被った。

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