警察官でした。〜ルパン三世VS薊の少女〜

19話 ページ19

毛利さんが驚いたように叫んだ。

「バカ言ってんじゃねぇ！」

高木刑事や目暮警部も止めようとしてくる。

「そうですよ。このまま王子が戻ってこなかったら」

「そうだよ、黒木君。さっきも言ったように、君が責任を感じる必要はないんだ」

キースさんは無線に手をやり、連絡を取った。

「王子を守るぞ」

大勢のSPが入ってきて、毛利さんたちを追い出してしまった。

※※※

エレベーターで目的の階に着くと、毛利さんたちがSPに押し込まれる所だった。

きっとここを逃したら貴和に会えない…！

私は毛利さんやSPの間を走り抜け、会議室に走った。

『貴和っ！』

ドアを勢いよく押し開けると、立って窓の向こうを見ていた貴和が振り返った。

「A？」

白い軍服に赤いマント、宝石のブローチ。

まさに王子様のような貴和が立っていた。

つい顔を赤くして見惚れていると、貴和がふっと笑った。

「ドレス似合ってるよ。それにして正解だったね」

『え、ええ。あなたも、本当に王子様みたい』

その時、背後から近づいてくる気配にとっさに飛び退いた。

SPが複数人で私に襲いかかってくる。

「彼女には乱暴しないでください！」

貴和の声にSPの動きが止まり、キースさんが歩み寄ってきた。

「彼は王子の身代わりになることを承諾くださった。ここは引いていただけませんか」

『本当なの？貴和』

貴和がうなずいたのを確認して、私は会議室の出入り口に向かった。

出る前に振り返り、貴和と目を合わせる。

『なるべく早く解放してあげるから。その間、美味しいものでも食べさせてもらって。身代わりとはいえ、王子様なんだから』

「無茶はしないでよ」

会議室を出てエレベーターに乗る際、キースさんと向かい合う。

『貴和をお願いします。あなたたちの元にいる間に不自由があったり、まして命を失うなんてことになったら、私は国家など関係なく今回のことを公表します』

「肝にすえておきます」

私はエレベーターのボタンを押して、ロビーへと降りた。

貴和side

キースさんが戻ってきて、会議室のドアを開いた。

「別の部屋を用意させる。それまで王子を頼む」

「はい」

そう返事をして入ってきたSPには見覚えがあった。

さっきのボディーガードだ…。

オレはその人と向かい合って話した。

「さっきはすみませんでした。王子様のボディーガードと知らなかったとはいえ、いきなり蹴り飛ばしてしまって」

SPの人も気まずげに顔を反らした。

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