警察官でした。〜ルパン三世VS薊の少女〜

18話 ページ18

「それじゃあ黒木君、本物の王子は、パーティーが終わるまでに戻ると、そう言ってたんだね」

「はい。オレ、まさかパーティー会場で、そこまでの騒ぎがあったなんて…。すみません」

「いや、黒木君が責任を感じることはないですよ。全ては…」

高木刑事がオレにフォローを入れて、キースと名乗った男性の方に顔を向けた。

キースさんはどこかに電話をかけている。

「そうか、ご苦労だが頼む」

電話を閉じたキースさんに、目暮警部が声をかける。

「Mr.キース。そういうことですからもう一度、王子の捜索を開始させていただきます」

「その必要はないじゃないですか」

キースさんの言葉に高木刑事が怒りだす。

「またおかしなことを！あんたねぇ、」

その高木刑事を止めるかのように、目暮警部が前に出た。

「必要ないとはどういうことか、教えていただきたい」

キースさんはオレの方に歩みより、オレが座っている椅子の背に手をかけた。

「教えるも何も、一体、誰を捜すと言うのですか」

驚いている毛利さんたちに、キースさんは不敵な笑みを向けた。

※※※

ホテルに戻ってきた私は、ロビーにいた園子さんに声をかけた。

『園子さん』

「もぉっ、いい加減にしてよね。どこ行ってたのよ。捜したのよ」

『ごめんなさい、迷ってしまって』

「なぁにが迷ってしまって、よ。あんたはこんな時、必ず事件持ってくるんだから」

園子さんの言葉を笑いながらごまかして、本題に入る。

『あの、王子様はもう戻ってこられましたか？』

「戻ってって…、王子なら上にいるんじゃないの？さっき目暮警部たちと一緒に、」

上を見上げながら言った園子さんに、声をかけて走り出した。

『少し行ってきます』

「えっ、ちょっと？！」

※※※
貴和side

毛利さんが怒りに顔をしかめて、キースさんをにらんだ。

「分かって言ってるのか？！」

「王子を拐ったのが、この国の人間だとしたら、日本とヴェスパニアの関係がどういうことになるか」

高木刑事も我慢ならないといったように、怒声を上げる。

「本当に怒るぞ！身代わりにする気か？！」

そんな高木刑事を腕で制止ながら、目暮警部も厳しい視線を向けた。

「認めるわけにはいきません。黒木君は紛れもなく一般市民。命を狙われてるとわかってて、巻き込むことは認められん」

毛利さんが不機嫌に言う。

「着替えろ、黒木くん。行くぞ」

だけど…。

「あの、オレ、王子様が戻られるまでならいいですよ」

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