警察官でした。〜ルパン三世VS薊の少女〜

13話 ページ13

※※※

ホテルのカウンターで荷物の札を出す。

『すみません、812番、お願いします』

「かしこまりました。お待ちください」

受付のお姉さんが奥に入っていく。

しばらくして、私が預けたものを手にして出てきた。

「はい、お待たせしました。こちらにございますね」

私が預けたのは、エンジン付きのスケボーだ。

『はい。ありがとうございます』

それを受け取り、私はホテルの出入り口に走った。

※※※
貴和side

公園のベンチに座って落ち着いたところで、助けた人から衝撃的な告白をされた。

「えっ？本物の王子様？」

その人はまだ少し息を整えながら、不思議そうに聞いた。

「そんなに驚くことか？」

「も、もちろん驚くことですよ。ということは、先ほどの男性は…」

嫌な予感が頭をよぎっている。

「オレのボディガードだ」

「ですよね…。オレも謝りますから、早く戻りましょう」

王子に立つように誘導するが、腕を振り払われてしまう。

「やめろ。あそこにいたくないから、逃げ出したんだ。オレは戻らないから」

「どうして逃げ出したんですか」

「パーティーに飽きたんだ」

確かにパーティーって何が楽しいのかよくわからないけど…。

「なぁ、タバコ持ってない？」

王子が何でもないことかのように軽く言った。

「オレは未成年です。持ってません」

「は？歳は？」

「13歳の中学一年です」

王子は少し驚いたようだ。

「へぇ、オレは19だから6つも年下だったのか。同い年かと思った」

「同い年でも、日本はタバコと酒は20からですよ」

「そうなのか。ヴェスパニアでは18からだな」

そこら辺は結構曖昧だよな。

「タバコを吸いたいなら、ホテルに戻りましょう。あなたがこんな所にいるなら、パーティーも止まってるはずです。皆、あなたに会うのを楽しみにしてたんですよ」

「嫌だ。楽しみにしてたって、オレじゃなくて王子に会うのが、だろ」

確かにそうだろうけど…。

もし若武が同じ立場だったら、喜んで参加したんだろうな。

そんなことを考えていると、自然に笑ってしまった。

「何笑ってるんだ」

「すみません。僕の友人に王子になんてなったら、城のバルコニーで喜んで手を振ってそうなのがいるので、つい想像してしまって…」

王子がうかがうようにこちらを見る。

「おまえはどうなんだ」

「僕は、僕のお姫様の王子でいられたら、それで満足ですよ」

Aの王子でいられれば、オレは満足だ。

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