警察官でした。〜ルパン三世VS薊の少女〜

11話 ページ11

「逆に、犯罪を犯す前にタバコを吸って、気を落ち着かせる者は多い。やぁ、お手柄だったな、Aちゃん」

目暮警部にそう言われた時、どこからか火災報知器の音が鳴り響いた。

※※※※

スプリンクラーからは絶えず水が出ており、SPとメイドは姿の見えない王子を探していた。

「王子様！」

「メル様っ？！」

屋上から戻ってきたカイルが部下に叫ぶ。

「火は出てるのか？！」

「いえ、火災はどこにも…」

「メル王子がどこにもいらっしゃいません！」

部屋の前で待機していた者全員の姿が見え、カイルはもう一つの廊下に出るドアの方を指さした。

「おまえら…。向こうのドアは誰かいるのか？！」

「いえ、誰もっ」

「間抜けっ！メル王子っ！」

1台のエレベーターのドアが閉まるところで、その向こうに白い軍服が見えた。

エレベーターのボタンを押すが、もう降りてしまったらしく開くことはなかった。

「す、すいません、リーダー。階段で…」

「最上階から間に合うつもりかっ。ロビーのヤツに連絡。地下にも人を回せ」

「はいっ」

「おまえはここで王子のエレベーターを見ていろ。途中の階で止まったら教えろ」

「はっ！」

その会話を聞いていた一人の女性がいた。

その女性はパーティー会場にいた、紫のドレスの女性だった。

女性は従業員専用エレベーターに乗り込み、地下に降りる。

その中で、小さなポーチから赤いライダースーツを出して着替えた。

そしてサングラスを外しウィッグだった金髪を外すと、長い茶髪が現れた。

その姿はまさに女泥棒、峰不二子である。

エレベーターが地下に着いたことを告げる。

不二子はエレベーターをでて、ピンク色のハーレーに乗り込む。

エンジンをかけ、かなりのスピードで地下駐車場を去っていった。

※※※※

街ではちょっとした騒動が起こっていた。

美しい青年が、白い軍服に短い赤いマントをはためかせて、人混みの中を走っていると。

※※※

王子がいなくなったという報告を受け、私たちは王子の部屋にやって来た。

キースさんが床に落ちていたライターを拾う。

それを見た毛利さんが天井を見上げた。

「ライターの火を近づけたわけだ」

『その騒ぎの間に、もう一つの部屋から逃げ出した…』

「さっすがロイヤルスイートルーム」

「すぐに非常線を張りましょう」

高木刑事の言葉に、キースさんが厳しく返す。

「必要ありません！」

それに目暮警部も厳しく返す。

「何かあってからでは遅いですよ？！」

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