551話彩side ページ7
「この破れた所には、アーヤの名前が書いてあったと思うんだけど」
小塚クンに聞かれて、私はうなずいた。
「そうだよ」
小塚クンは、小さな息をついた。
「このカードについている唾液からDNAを検出して、 砂原のと比べて見ればはっきりするけれど、ボクの考えでは、たぶん一致すると思うよ。砂原は、すごく急いでアーヤの名前の部分を食いちぎったんだ」
そう言いながら、私に目を向ける。
「砂原は、自分の名前の方を食って、隠すこともできたんだよ。でも、自分のはそのままにして、アーヤの名前を食った。それは、アーヤをかばったってことじゃないのかな。ボクたちは、砂原を許せないヤツみたいに思っていたけど、それは間違いだったと思う。砂原は、アーヤを守ろうとしたんだよ」
私は、抗議でもするかのように言った。
「でも、それを張り出したのは、本人だって言ってる子がいたんだよ。張っているところを見たって」
黒木クンがちょっと笑った。
「ああ、それで全部わかった」
え?
「怪人Xが、不良の中から6人を選んだって言っただろ。その際、自分に完全に服従しているか、言うことをすべて聞くかどうかを確かめるために、何度もテストしたって」
ん、裸で街を走れと言ったとか、のことだよね。
「きっとこれは、砂原へのラスト・テストだったんだ。渡されたバレンタインカードを駅に張り出せ、だ」
私は、息をつめた。
そんなひどいこと…。
「で、砂原はそれをやらなければならなくなって、せめてアーヤの名前を隠すために、とっさにそこを食った」
私は、首を横に振った。
「そんなことしなくても、テストからリタイヤすればよかったじゃない。そうした人だっているんでしょ。何で、そんなに6人の中に入りたいわけ?」
休み時間終了のチャイムが鳴り始め、若武と桜田さんが立ち上がった。
「きっと、何かわけがあるんだ。それがわかれば、アーヤと会う時に異常に警戒してたことや、謎みたいだった言葉も、辻褄が合うんだよ、きっと」
そう言いながら、ふっと目をやさしくする。
「オレ、砂原のこと、かなり気に入った。あいつは、自分が置かれた状況の中で、精一杯、戦ったんだと思う。それを認めてやりたい。砂原には、そうしなくちゃならない事情があったんだって信じることにする」
私は、若武をにらんだ。
若武は、自分の言ってたのと同じ方法を、砂原が取ったものだから、気分をよくしているだけなんだ、きっと。
「何だよ、アーヤ、その目」
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きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます!トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します!これからもよろしくお願い致します! (2020年8月6日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか!w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます!雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます! (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね!)!きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい!もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ! 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます!お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 10時