591話 ページ47
「Aが残ったってことは、やっぱりあの人何かありそう?」
『ええ、確実に犯罪者の目をしていたわ』
それも、人の生死にかかわるような・・・。
玄関から物音がし、あの男が一人で出てきた。
「男にはオレがつくよ」
『私は、家の様子を周囲からうかがって、いけそうなら中に入るわ』
最初にポストの郵便物を確認し、あの男の情報を得る。
家の周りを大きく回ってみたが、あの蠅が発生しているのはこの家のみ。
悪臭も同様だ。
そしていざ侵入しようとしたとき、ポケットのスマホが震えた。
和臣から、侵入はせずに駅で合流しようというメールだった。
すぐに貴和からも連絡が入り、そのまま駅に向かうとのことなので私も走り出した。
※※※
駅に行くと、貴和がスタバのドア脇にある緑のマークの前に立っていた。
その隣に並んで互いの情報をすり合わせていると、皆もエスカレーターを上ってきた。
「ご苦労」
和臣がそういいながら歩み寄ってくる。
貴和はニコリともせず、親指でスタバの中を指した。
「詳しく説明する。入ろう」
その顔は、真剣だった。
すり合わせの結果、この件は、かなりきな臭い。
※※※
『あの家には、後期高齢者の名簿にあった北森啓太郎と、もう1人、北森秀雄が住んでいるわ』
「オレたちの前に出てきたのは、たぶん秀雄だろう」
『苗字が同じだし、見た目年齢から言っても、おそらく親子ね。秀雄は、ここ1年以内に、市内の南町のマンションもしくはアパートから、あの家に引っ越してきているわ』
「まだ市役所に届けてないから、啓太郎の名簿が1人暮らしのままになっていたんだと思う」
あの短時間では、ここまでの情報しか得られなかったわ。
「黒木ぃ、A・・・」
和臣が感嘆したように言った。
「おまえら、それ、どうやって調べたわけ?」
『簡単よ。ポストを拝見させてもらっただけ』
私は[間違えて]撮ってしまった葉書の写真をスマホの画面に出して、皆の前に置いた。
『あの家のポストに入っていた郵便物よ』
それは、商店街から北森秀雄にあてた半額セールのダイレクトメールで、南町の住所が書かれている。
そのそばに、例の家の住所を書いた紙が貼りつけてある。
「郵便局に転居届を出しておくと、旧住所に来た郵便物を新住所に届けてくれるんだ。1年間だけね」
つまりこれは、南町の北森秀雄あてに出されたが、郵便局に転居届を出していたために、あの家に配達された。
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きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます!トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します!これからもよろしくお願い致します! (2020年8月6日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか!w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます!雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます! (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね!)!きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい!もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ! 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます!お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 10時