589話 ページ45
『調子が悪い家電とか、壊れてしまった思い出の品の修理。使い方がわからない家電の説明なんかもするわ』
「なんか業者っぽいけど、まぁよし。じゃ社会奉仕団KZ、出動っ!」
勢いよく先に立った和臣の後ろに続きながら、皆、どことなくテレテレと歩いた。
和典が、どうしても力が入らないといった表情で皆を見回す。
「なんで、こんなに、やる気出ねぇんだろ。オレ、別に派手さは求めてないけど、これは、なんか違う気がする」
ボヤく和典に、和彦がうなずいた。
「ボクも」
貴和が、くすっと笑う。
「それはね、スリルがないからだよ」
それかも。
KZ結成当初は、そんなものはなくていいと思っていたのにね・・・。
「今まで気付かなかったけれど、ボクたち、結構スリルが好きだったってことだよね」
和彦がそう言い、和典がため息をつく。
「スリル満点の社会奉仕ってないのか?」
それこそ、前の探偵チームでしょ・・・。
※※※
「1軒目は、ここだ」
和臣が立ち止まったのは、駅から少し離れた住宅街だった。
幅が4メートルほどある道路の両側に、びっしりと家が立ち並んでいる。
端から2番目にある2階建ての家で、和臣はもう一度、貴和の携帯に入っている名簿をのぞきこんだ。
「北森啓太郎。75歳、男性。1人暮らし。15年前に会社を退職、だって」
そのあたりに建っている家に比べると、小さな家で、塀もなく、道路に面してポストのついた支柱と、門扉だけが立っていて、そこから玄関までは、ほんの2、3メートルだった。
脇はコンクリートの駐車場で、黄色のナンバーの軽自動車が止まっている。
「行くぞ」
そう言って和臣は、支柱についていたドアフォンを押した。
ところが返事がなく、しばらくして玄関のドアがいきなり開き、30代くらいの男が出てきた。
こいつ・・・!
「あの、北森啓太郎さんいらっしゃいますか?」
その男は、和臣の言葉に険しい顔つきになりながら、私たちのそばまで来た。
とたんに、悪臭が鼻を突き、体や服も長い間洗っていないようだ。
「いるに決まってるだろ。自分の家なんだから。だから、なんだ」
「僕たち、社会奉仕団KZです。75歳以上のお年寄りのいる家庭を訪問して、話し相手になったり、お慰めしたりしています。啓太郎さんに会わせてもらえますか?」
すると男は、ますます硬い表情になった。
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きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます!トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します!これからもよろしくお願い致します! (2020年8月6日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか!w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます!雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます! (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね!)!きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい!もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ! 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます!お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 10時