警察官でした。12

588話 ページ44

「ボクはね、まず好きな動物や昆虫、植物の名前を上げてもらって、そのことについていろいろ説明する予定。犬とか猫とかライオンとか、あるいは昆虫とか、花なら鈴蘭とか薔薇とか、それに杉とか檜とかの名前が出てくるだろ。そしたら、それらがどこに分布してどんな性質で、学術的にはどう分類されているとか、意外に知らないエピソードとか、国による違いとかを話すんだ」

[シャリの小塚]らしいやり方ね。

「よし、合格。じゃ次、上杉は？」

和典は、少し眉根を寄せた。

「オレは、定理について説明する。ピタゴラスの定理とか、フェルマーの定理とか、美分析分の基本定理とか、だ」

それは･･･。

「そんなの聞いて、誰が喜ぶんだっ！？」

和臣が血相を変えて叫ぶと、和典はわけがわからないといったような表情になった。

「オレ、喜ぶけど」

和典か、数学に関わっていた人だけよ･･･。

「却下」

和臣が、きっぱりと首を横に振る。

「もっと万人が興味を持つものでなきゃ、ダメだ」

「上杉さぁ、」

すでに合格をもらっている和彦が言った。

「魔方陣の作り方で、いいんじゃない？縦の数の合計も、横の数の合計も、斜めの数の合計も全部が同じ数になるっていうあのサークルの作り方。すごくおもしろいよ。興味を持ってもらえると思うな」

和典が口を開く前に、和臣が決めつけた。

「よし、上杉は魔方陣だな」

和典は、しかたなさそうにうなずく。

「黒木は？」

「最近、高齢者がターゲットになっている年金詐欺、それから電話を使ってのオレオレ詐欺、これらを見分ける方法と、引っかからない方法を伝授する」

貴和らしいし、実に役立つ知識になるだろう。

「合格。じゃ次、アーヤは？」

「漢字遊び。漢字には部首があるでしょ。たとえば、偏とか。木の名前は、ほとんどキ偏がついているから、知っているそれを全部上げてもらって上がってこなかったものを私が補足したり。キ偏を使って、おもしろ漢字を作ったり。たとえば、キ偏に空って書いてウドと読むとかね。偏だけじゃなくて、冠なんかは、生活に密着したものが多いから、霜とか雷のアメ冠とか、草や花のクサ冠とか、成り立ちから説明して、楽しんでもらえると思うんだ」

和彦のものとセットにすれば、さらによくなりそうだ。

「まぁ、合格。最後にA」

589話→←587話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す