584話 ページ40
「弱ったふりして、同情誘っただろ」
和臣は、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「あれは、作戦の一つ。擬態っていうんだ。小塚に聞いてみろよ」
和彦は、肩をすくめながら説明する。
「窮地に陥った昆虫が、それを切り抜けるために形や色を変えること」
和典が、腕を伸ばして和臣の頭をヘッドロックする。
「おまえ、昆虫なのかよ」
引きずり寄せられて和臣は、その腕を外そうともがいた。
「何とでも言え。もう決定したんだからな」
半分本気で、半分じゃれている2人を見て、私は貴和に声をかけて、お手洗いに立った。
※※※
カフェテリアに戻ると、私たちのテーブルの傍に誰かが立っている。
あの後ろ姿って…。
私は気配を消して、観葉植物の後ろに隠れた。
和臣がその人物を、真っ青な顔で立ち上がりながら見つめている。
やがてパチンと指を鳴らす音が聞こえた。
「ああ、オレに負けたヤツ」
そいつが言った言葉に、和臣は息を呑み、よろけるように椅子に座りこんだ。
まるで、自分を支えきれないといった感じだった。
和典がおもしろそうにキラッと目を光らせる。
「負けたって、それ、何？」
和彦も貴和も、興味深そうに顔を輝かせている。
「若武と、知り合いなの？」
立花さんが聞くと、そいつは、軽く首を何度か縦に振った。
「昔のことだけどね」
そう言いながら和臣を見る。
「話していい？」
和臣は不機嫌そうな顔で、ジロッとそいつをにらみ上げた。
「話さなくていい」そいつは、笑い出しそうになるのを必死でこらえていた。
「わかった。オレも、ここに座っていいかな。おもしろそうだから、入れてよ」
そいつが空いていた私の席に座ったので、その後ろに歩み寄る。
『あら、グレたハク様がどうしてここに？』
私の声に、そいつはゆっくりと私を見た。
「やぁ、荒れ地の魔女。それはこっちのセリフだよ」
こいつ･･･。
私たちの険悪な雰囲気に皆が怯んでいるのを感じ、私はそれ以上口を開かず、近くのテーブルから椅子を一つ拝借して座った。
しかしそいつは、今度は貴和に絡みだした。
「ねぇ、おまえって荒れ地の魔女と親戚だったりするの」
貴和は余裕な笑みを返していく。
「違うよ。その子は、オレの愛しいサン」
美門が、さらに貴和をにらむ。
立花さんが雰囲気を変えようと、皆を見回して言った。
「うちの学校の転校生。転校1か月目だけれど、もう注目されててアイドルだよ」
すると、皆の目が一気に冷たくなった。
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きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます！トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します！これからもよろしくお願い致します！ (2020年8月6日 22時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか！w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます！雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます！ (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね！)！きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい！もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ！ 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます！お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます！ (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年6月21日 10時
