575話彩Side ページ31
今回の席は先生が決めたもので、噂では翼が桜田さんの刺激になるかもって、決められたんだって。
桜田さんは最近、手を抜くのをやめたらしくって、バレーボール大会では、女子のエースアタッカーとして大活躍。
実力テストでは、全教科トップを持っていった。
しかも副ルーム長に指名されたりもした。
ここまでは翼とほとんど同じで、翼も桜田さんには自分から話しかけに行ったりもする。
でも実際は…。
「おはよう、天パ。今日も爆発してるね」
『あら、おはよう。今日もはかなげね。そのまま消えればいいのに』
『こんな実験、あなたならやらなくても充分でしょ?やさしい私がやってあげるわ』
「よく言うよ。やらないと理解できないだけなのに。まぁでも、こんなに臭い実験なら、お似合いかもね」
こんな感じで、毎日言葉の刃の投げ合い。
先生たちの思いは、外れちゃったみたい。
そんな翼が今、薄暗い教室の中で、たった1人で自分の椅子に座っていた。
両腕を組んで机の上に置き、そこに顔を伏せていたんだ。
そのまま、じっと動かない。
私は、死.んでるのかと思って息が止まりそうになったくらいだった。
翼がそんなにグッタリしているところなんて、今まで一度も見たことがなかったし。
いつもシャンと背筋を立てていて、なにがあってもクールな感じ、それが翼のイメージだったから。
でも今、私の目の前にいる翼は、ものすごく、まいってるみたいに見えた。
まるで、魂を吐き出してしまった人のように、クタッとしてる。
秀明のテキストを忘れてしまったから、取りに来ただけなのに、すごい時に居合わせちゃった。
気には、なったんだけれど、関わりたくなかった。
できれば、見なかったことにして、そのまま回れ右をして帰ってしまいたかったんだ。
でもテキストを持たずに秀明に行ったら、今日の授業についていけない。
いくらこっそり入っていっても、翼は一番前の席に座っているんだし、私の席は、ちょうど真ん中。
そこに行くまでには、どうしたってわかってしまうに決まっていた。
それで覚悟を決めて、できるだけ明るい声で言ったんだ。
「あれ、美門クン、まだいたの?」
瞬間、翼はビクッとして、素早く体を起こした。
サラサラの髪が、きれいな頬に振りかかって影を落とし、箱から飛び出したバネじかけの人形みたいだった。
「ああ…」
大きな息をつきながらそう言って、翼は両手で髪をかき上げた。
「えっと…おまえって」
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きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます!トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します!これからもよろしくお願い致します! (2020年8月6日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか!w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます!雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます! (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね!)!きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい!もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ! 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます!お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 10時