警察官でした。12

574話彩Side ページ30

ところが翼は、なにもかもをそつなくやってのけて、面倒そうでも、大変そうでも、嫌そうでもなかった。

なにも言わずに、黙々と片付けていくんだ。

そんな翼を見ていて、私は、炎の話を思い出した。

真っ赤に燃えている炎は、とても熱そうだけれど、それよりもっと温度が上がると、赤じゃなくて青くなるんだって。

それで、さらに温度が上がると、今度は白く見えるらしい。

翼は、まさに、白い炎って感じだった。

深いところで静かに燃えている最高に熱い、真っ白な炎、そんな感じ。

それからタスク・ヒーロー伝説の最後、4つ目は、驚きの成績。

運動系と同じように勉強系の生徒も、各教科ベスト5は誰とか、総合だと誰とか、だいたい決まっていて、あまり動きはなかった。

ちなみに私は、国語ならベスト3以内、教科の総合ならベスト10以内に、たいていの場合、入ることができる人。

でも国語はともかく、数学が入ってくる総合は、10位ギリギリってこともあるから、誰か1人でも割りこんでくると、圏外に落ちてしまう。

だから転校生があったりすると、すごく心配なんだ。

翼が来た時にも、きれいな子だって思うと同時に、不安になっていた。

もしかしてこの子、かなりできるんじゃないかって。

だけど同時に、運動ができて、皆ともうまくやれて、その上、成績までいいなんて、そんなのありえないとも思ったりした。

とにかく、初めてのテストの結果が出ればわかる。

そう思って、ハラハラしながら待っていたんだ。

その結果…私は、自分の不安がバッチリ当たっていたことを思い知らされた。

私自身は、10番以下に転落。

そして翼はなんと、学年ベスト3だった。

まぁ、この学校の中等部って、そんなに高レベルじゃないんだけれど、それでも初の実力テストで、いきなりベスト3に食いこんだものだから、皆がびっくり！

もちろん、私も、絶句してしまった。

これが、翼を彩る4つのヒーロー伝説。

でも、ここまでオールマイティーだと、競り合う気になれないらしくて、今では、男子は敬服の眼差し、女子の目はもちろんハート、そして薫先生を始めとして学年主任や教頭先生たちも、翼の運動能力や成績に期待していた。

転校1か月で、すっかり学校のスーパー・スター。

でも、それとは別に、少し悪いこともある。

気になる翼の隣の席は、桜田さん。

実は最初は違ったんだけれど、翼が転校してきてすぐに席替えがあったんだ。

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