567話貴和sideから彩side ページ23
「じゃあ、オレも風呂入ってくるから、少し待ってて」
ささっと入って、オレも下着にバスタオルで部屋に戻った。
ベッドに乗ってAのバスタオルも床に落とし、抱き合ってベッドに入る。
「…冬だけど、こうやって抱き合えば温かいね」
オレの胸にあるAの頭が、小さく縦に動いた。
「これだけ温かいんだから、Aの心はよっぽど温かいんだね」
『…心の温かさと体温は、関係ないわ』
「そうかな。オレは、心が温かい人はその分、体も温かいんだと思うよ」
黙ってしまったAの背中を優しく叩き、心の底から言った。
「Aは[バケモノ]じゃないよ。オレの愛する、人間の女の子だ」
『…ぅん』
オレの胸が、ポツポツと濡れる感触がする。
いつか、ちゃんとその涙を見てみたいな。
きっと真珠のように綺麗だろうから。
※※※
彩side
土曜日、探偵事務所で今回の事件の反省会と称して、私たちは集まった。
桜田さんは疲れがたまっていたのか、ここ数日は学校を休んでいたが、今日は来られるそうだ。
まだ謝れてないから、きちんと謝らないと。
上杉クンや小塚クンも来て、後は黒木クンと桜田さんだけ。
足音がしてドアが開き、黒木クンが姿を見せた。
「遅れてゴメン。Aが嫌がってさ」
どうやら、黒木クンの後ろに立っているらしい。
「ほら、A」
黒木クンに優しく言われて、出てきた桜田さんに、皆が驚いた。
短くなってしまったのは知ってたけど、その髪はゆるくウェーブがかかっていて、毛先がクルンと内巻きになっている。
それによって、長さも肩につかないくらい。
全体的にふわふわしているけど、何だかさらに大人っぽい感じになっていた。
無言で驚いている皆に、桜田さんは気まずそうに言った。
『もともとくせ毛なんだけど、重みがあればごまかせるものだったから、それで伸ばしてたの。短くなったから、こうして出てきちゃったのよ』
我に帰った若武が、笑顔で言った。
「いいんじゃないか、似合ってるぞ」
小塚クンも笑顔でうなずいた。
「大人っぽくていいね」
上杉クンも軽くうなずいた。
「そうなったら、本当にエマ・メルシエにそっくりだな」
私も笑ってみせた。
「すごく似合ってるよ」
桜田さんは少し安心したように書斎に入って、ソファに座ろうとした。
それを、若武が止めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます！トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します！これからもよろしくお願い致します！ (2020年8月6日 22時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか！w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます！雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます！ (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね！)！きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい！もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ！ 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます！お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます！ (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きょっちー | 作成日時：2020年6月21日 10時
