566話途中から貴和side ページ22
全力で視線をそらしている私に、貴和はこれ見よがしにため息をつき、私の髪に触れた。
「これは？」
『あ、飛び蹴りする前に、奪ったナイフで掴まれてたとこを切ったのよ。別に気にしてないわ』
しばらく私の目を見つめ、小さく息をついた。
「帰ったらそろえてあげるよ」
復活した和臣から、次の土曜日に事務所集合を受け、私たちは解散した。
※※※
家に帰ると、先に入れと貴和にお風呂に押しこまれた。
浴室用の椅子に座って、頭からシャワーを被る。
顔のお湯を払って前を見ると、鏡に映った自分が目に入った。
短くなった毛先に触れてみる。
一番短いところで肩より少し下、立花さんと同じくらい。
私が髪を伸ばしていたのは、一つの理由と、一つの願望から。
前世の私も、公安に入ってしばらくまでは髪が長かった。
親の顔すら知らなかった前世の私は、その黒髪が唯一の親の影に思えていたから。
けれど公安に入ってからは、[女]という性別は荷物でしかなくなり、短く切ってしまったのだ。
だから、今の私では思い切り伸ばしたい。
それが一つの願望だった。
鏡にはやはり短くなった髪。
それを見つめていると、立花さんの言葉がよみがえってきた。
【[バケモノ]にはっ！！】
鏡の私が前世の私に見え、それが話しかけてきた。
【結局おまえは、人間にはなれない。[バケモノ]でしかないんだよ】
…気付いた時には、鏡を殴って割ってしまっていた。
鏡に放射線状にヒビが入っているが、片目だけきれいに映っている。
この目も、好きでもあり、嫌いでもある。
もちろん、母さんと同じ色の目は大好きだ。
だけどその灰色が、白にも黒にもなれない私を表しているようで…。
…ダメね、今日は感傷的すぎる。
ささっと頭と体を洗い、浴室を出た。
※※※
貴和side
用意がちょうど終わった時、Aがオレの部屋に入ってきた。
何故か下着姿にバスタオルを肩にかけただけの状態で、その顔はいつにもなく暗い。
「…待ってたよ。さ、始めようか」
新聞紙の上に置いた椅子に座らせて、ゴミ袋に穴を開けただけの即席ケープをつける。
そしてハサミとコームで、ざんばらの髪を整えていった。
お互いに無言で、終わった時には肩甲骨の下まであった髪は、アーヤと同じくらいになっていた。
ケープを外して、お姫様をベッドに移す。
持ってきておいたゴミ袋に、髪が落ちないように新聞紙を捨てた。
痛々しい火傷の後に包帯を巻いて、Aの頭をなでた。
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きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます！トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します！これからもよろしくお願い致します！ (2020年8月6日 22時) (
レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか！w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます！雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます！ (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね！)！きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい！もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ！ 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます！お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます！ (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年6月21日 10時
